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テニスボーイの憂鬱 下 (集英社文庫)

テニスボーイの憂鬱 下 (集英社文庫)

テニスボーイの憂鬱 下 (集英社文庫)

作家
村上龍
出版社
集英社
発売日
1987-10-20
ISBN
9784087492668
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テニスボーイの憂鬱 下 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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Hiro

上巻・下巻を読み終えて、テニスボーイの人間味を最大限に感じました。テニスボーイは、他の人が不幸だなと感じることでも、タイトルにもあるように憂鬱と捉える考え方をする人間だったのだろうと思います。そして、物語を通して何度か出てきた、「誰も他人を理解できない」ということが印象的でした。テニスボーイと吉野愛子や本井可奈子ほどの深い関係になっても、他人を完璧に理解することは出来ないのかと知りました。そうすると、Mr.Childrenの掌という歌がふと頭に浮かんできました。何かテニスボーイの生き様を表しているようで。

2019/07/25

ちぇけら

「愛人が妊娠する、それは不幸ではなく、辛くも悲しくもない、ただ、憂鬱なだけだ」美しいと思った。不倫ってブンガクなんだ。「股だけでしかつながれないことにテニスボーイは怒り、絶望した。そのことを言うと、本井可奈子は何度も頷いた。もっともっと多くのくぼみが必要だった。なまの肉が露出するくぼみが欲しかった。全身でつながりたかった。皮膚を裂いて舌を差し込み、奇形の双生児のように一つになりたかった。床にひざまずいた本井可奈子の口のなかにテニスボーイは射精したが、その間、俺は悪くない俺は悪くないと胸のなかで呟き続けた」

2017/08/20

私はテニスボーイみたいな人をたくさん知っている。30代、実業家、食事に行く度にクリュッグを空けて、外車に乗り、女のために飛行機やリゾートホテルを手配する。テニスボーイとの違いは女の子たちに対して恋愛感情がないところかなぁ。彼らにとって女はアクセサリーみたいなものだもの。女側もその役割を分かってるから、その関係には憂鬱なんて存在しない。やっぱりテニスボーイは下手くそだなぁと人間くささに好感が持てるのです。テニスボーイの感情も女たちの涙も、そのワガママこそ恋愛小説の真髄です。やっぱり大好きな1冊。

2017/03/06

りえ

仕事よりテニス大好きな既婚男性と未婚の女性の恋愛ストーリー。途中で恋愛対象の女性が別の人になる。一人に振られ、その後別の女の子と付き合う。既婚で、しかも息子もいるのに浮気なんてひどい話だと思いつつ、内容が面白すぎる。自由奔放で好きなことばかりしているのに、好きな女性のことで悩み、あることが発覚して憂鬱になってしまう。恋愛小説は内容によって好き嫌いがでてしまうけど、私はこの本みたいな恋愛小説は好き。

2015/08/17

らい

いやほんとうに見事だなあ(笑) この人はいつも決まった武器を処女作から使ってるけど、この辺の時期の作品はそれが間延びせずに淡々と洗練されていってるのを強くかんじる。愛と幻想のファシズムとかと違ってこの手のぱっとしないヒロイズムを帯びていない主人公が好きだなぁ。

2019/03/11

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