モダン東京物語 (集英社文庫 ふ 11-1 探偵・的矢健太郎)
モダン東京物語 (集英社文庫 ふ 11-1 探偵・的矢健太郎) / 感想・レビュー
月見里
昭和前期を舞台にしたハードボイルドミステリー。解説にもあったが、事件が解決しないうちに新しい事件が起こり、それがやがて一本の線に繋がっていく……という趣向。常識人のはずの主人公にけっこう癖があって、話は面白かったのだけれど主人公を好きになれなかった。残念。
2009/06/29
ヨコケイ
昭和初期の東京が舞台でハードボイルドというより私立探偵小説の方がしっくりくる。華族邸に奉公していた娘が消え兄の書生が洋行帰りの探偵に依頼する。失踪人捜しで始り死体が転がる型通りの流れ。それに米女優誘拐事案、排外的な国粋主義者の陰謀が絡む。些かライトなほどテンポが良くスルスルと進む。時代色を出すための描写といい結構手間がかかっていると思われるが、解説の日影丈吉ではないがその拘りのわけは奈辺にあるのか。上流階級の悲劇というチャンドラー風道具立てのPI物を日本で成立させるためのexcuse?最終盤は良いのだが。
2018/08/06
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