雨やどり (集英社文庫)
雨やどり (集英社文庫) / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
初読みの半村良先生です。私が生まれる前年の昭和49年直木賞受賞作品でした。帯に書かれてる通り、まさしくこれ以上ないぐらい見事な『ザ・昭和』な小説です。作家さんには本当に気の毒で大変申し訳ないのですが、北海道にしか住んだことのない私には作中にたびたび描かれる新宿特有とも思える喧騒や街並みが、あまりイメージできず、とても残念でした。きっと「団塊の世代」といえる先輩方が読むとしっくりと馴染むんでしょうね。しかし、最近の作品では感じることの少なくなりつつある'筆(描写)で勝負'な感じは非常によく伝わりました。
2017/02/19
kaizen@名古屋de朝活読書会
直木賞】新宿馬鹿物語という副題そのまま。新宿を拠点とする飲食店関係者の物語。短編連作。主人公はバーテンダーの千田。いろいろな人が店を出す話が出てくる。ママ、ホステス、マネージャ、パパ、警察。新宿の水商売の立場の違いと、興味の違いが分かる。ちょうど新宿御苑近くのJというjazz spotに行ったので、新宿の馬鹿さ加減とその裏にある苦労を感じることができた。新宿は日本で一番馬鹿な場所であることが滲み出ている。新宿に思い入れのない人には詰まらないと思えるかもしれない。
2014/06/17
いつでも母さん
【再読】昔はただ大人の世界・新宿への憧れだけで上っ面のみの読書だったと思う。『新宿』一度だけ呑みにいった街・・私の居場所はない。がこの歳になって半村良の描く『新宿』が心地よい。バーテンダー・仙田を芯においてはいるが、どの話も『昭和』を懐かしむと同じくらいすんなり心に沁みる。今の新宿裏通りがどんなのかは知らないが、どこかでこんな男たちや女たちが暮らしていて欲しいと思った。
2017/03/05
遥かなる想い
第72回(昭和49年度下半期) 直木賞受賞 SF作家のイメージが 強い半村良が、新宿の バーを舞台に書いた 人情物短編集。 バーテンダー仙田を 軸に行き交う新宿の男女の 夜の人生を描く。なぜか 哀しいのだが、人生の機微を 知り尽くした大人の物語 のようで素敵である。 松本清張が 「O.ヘンリーの短編集を 読んでいるよう」と評した この本、人生を垣間見る 楽しさが確かにある
2013/08/12
hit4papa
新宿の飲み屋街を舞台に、男たち、女たちが集う夜の世界を描いた連作短編集。中心となるのは、独立して店を開いたバーテンで、全体を通して義理・人情が生きていた昭和を感じる作品です。ただ、レトロと言うよりは古い(!)という印象が否めません。収録されている8作品は、連作の体ではありながら、辻褄が合わない登場人物の関係性も見られて少々気になってしまいました。いつも客とねんごろになってしまうホステスの謎「おさせ伝説」、殺し屋と噂された客に心を奪われた女たち「ふたり」、雨が縁となった一瞬の恋物語「雨やどり」等。【直木賞】
2023/08/13
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