KADOKAWA Group

Facebook X(旧Twitter) LINE はてブ Instagram Pinterest

砲撃のあとで (集英社文庫)

砲撃のあとで (集英社文庫)

砲撃のあとで (集英社文庫)

作家
三木卓
出版社
集英社
発売日
1977-05-20
ISBN
9784087500103
amazonで購入する Kindle版を購入する

砲撃のあとで (集英社文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

遥かなる想い

第69回(1973年)芥川賞。 少年の目を通して、終戦時の風景を 描く。文体が清冽で、人々の 生き抜こうとする 姿勢が 上手く 描かれている。煙草を売りながら、 時代を生き抜く少年と その兄の苦闘が 哀しく 現代に伝わる作品だった。

2017/09/23

ヴェネツィア

合計で短篇及び掌編を14篇収録。篇中の「鶸」は、1973年上半期芥川賞受賞作。大連(小説中には地名が書かれていないが)で、終戦を迎えた時、著者は10歳。それとほぼ等身大の主人公の眼を通して、終戦から引揚げまでの混乱期が活写される。芥川賞の選考委員たちの選評は必ずしも絶賛というわけではないが、それは素材の古さ(戦後28年が経過していた)に、作品の新しさが認識できなかったからだろう。今読むと、実にうまい小説だ。少年の心理の綾から、不安感までが見事に描き出されていたことに驚く。彼の散文は、まさに詩的でさえある。

2014/03/19

kaizen@名古屋de朝活読書会

【芥川賞】作品「鶸」が標題になっていないのはめずらしい。銓衡委員の大岡昇平の評では「作品は荒削りだが、敗戦直後の満州の現実への視点がしっかりしている。氏は詩人としての実績のある人であるが、この作品には氏の詩作の経験を思わすものを見いださなかった。」とのこと。当時のことを知る人の感想を知りたい。自分では勉強になった。 

2014/02/05

クラムボン

満州からの引揚げ体験を描いた「砲撃のあとで」を昭和46年に執筆。その後二年かけて連作短編に仕上げた。その中の一篇「鶸(ひわ}」が芥川賞を受賞している。作者は終戦当時十歳の少年、新聞社勤務の父と母、祖父母と兄の六人家族。物語はその少年の目を通して語られる。一夜で支配する側から敗者の側に突き落とされ…その恐怖を克明に描く。父は占領軍の訴追を恐れ家族と離れ身を潜める。兄はそんな父を蔑むが虚勢だけの男。少年も足止めの原因となる病気の祖母の死を願う。引揚げまでの一年半に父と祖母を失う…その壮絶な物語は読んでいて辛い

2024/06/26

Wisteria

終戦を大陸で迎えた人々は、それまでとは置かれた立場や権力が大きく逆転してしまい、大変な恐怖と苦労を味わった事だろう。刻一刻と変化して行く渦の真っ只中にまさに今いると言う臨場感が伝わって来た。

2017/01/11

感想・レビューをもっと見る