あるいは酒でいっぱいの海 (集英社文庫)
あるいは酒でいっぱいの海 (集英社文庫) / 感想・レビュー
ばりぼー
およそ30年ぶりの再読。他の短編集に収録されなかった、初期の頃の「残りものの寄せ集め」作品集。とは言っても、その後のエログロナンセンスの傑作につながっていく魅力的なショートショートや短編ぞろいです。特に、相手の意識をテレパシーで読み取ることのできるエリートと俗物の対決を描いた「底流」は、後の七瀬シリーズに発展していく魅力的なアイデアですので、ファンならこれだけでも読む価値があります。それ以外のものも、不謹慎で罰当たりな、それでいて笑えるネタぞろい。残りものだなんてとんでもない、十分楽しめます。
2014/05/08
紫伊
どれも見開き1~5ページ、もう少し長いものくらいものとどれもとても短い中に話が凝縮されていて面白かった。私の中でこの方の作品は濃厚なスープのようなコクとアクがあるイメージなので、スプーンでいろいろなものを一口ずつ味わう様なこの短編は読みやすかったです。一番好きなのは「睡魔のいる夏」。すべてが緩やかに終わっていく世界の情景が不謹慎かもしれないけれどとても美しい。ラストにこの作品を持ってくるセンスもとても好きです。
2019/07/30
メタボン
☆☆☆ 初期作品群。習作のようなテイストの作品が多く、筒井の作品としては正直読みごたえがないものも多いが、のちのエログロ、荒唐無稽、ドタバタナンセンスをうかがわせる萌芽が見られ、なかなか貴重な作品集とも言える。「底流」に七瀬シリーズの源流を感じた。
2019/10/22
saga
【再読】表題作は錬金術的展開だった(忘れていた)。解説で、本書はNULLに発表された初期作品を含む短編集だと教えられ、その希少価値に充足感を感じる。30+1編というテンポの良い作品は、著者の才能に改めて驚嘆。自分も「佇む人」に魅せられて筒井ファンになったのだった。その意味で「睡魔のいる夏」は印象的だ。
2018/04/25
たか
筒井康隆の初期のショートショート。氏特有のブラックユーモアが懐かしい。D評価
2017/11/12
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