オーパ! (集英社文庫)
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オーパ! (集英社文庫) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
何事であれ、ブラジルでは驚いたり感嘆したりする時に「オーパ!」というらしい。本書の書名はそこからとられているのだが、読んでいる私たちこそ何度も「オーパ!」と叫ばずにはいられない。もう驚きの連続なのだ。ヴェトナムにもジャーナリストとして従軍し、はたまた世界の果てで怪魚を釣る開高健。まさに日本のヘミングウエイといったところだが、彼が今回赴いたアマゾンは、何もかもが桁外れのスケールで我々を圧倒する。天文学的な数のピラニアで溢れかえった河。すべてが我々の常識を超えていて、読み終わって再び「オーパ!」。
2015/02/19
ゆいまある
何かの事情があって野外へ出られない人、海外へ行けない人、人間や議論に絶望した人に捧ぐという冒頭の序文で涙ちょちょ切れ。本の神様がいるなら今ここで私が腐ってることを知っていたに違いない。ページを捲るとぐるり水平線しか見えない甘い海に浮かぶ舟の中。倦んで濁りきった中年の心を職場から引き剥がし、これから一ヶ月Tシャツと短パン姿で、大アマゾンと世界最大の湿原パンタナールで幻の魚を釣り、夜は釣った魚を焼いて手掴みで食べる日々が続く。開高さんの文は脂が乗りきって素晴らしい。魚も水も光り輝く。ありがとう本の神様。
2020/11/06
ehirano1
アマゾンを去る時になって(P236)当方自身も著者同様になぜか滅形してしまいました・・・(もちろん最終貢まで読了はしましたが)。減形の原因は、当方は著者に同行し一緒に釣りをしていたからなんでしょうね。 なんだか心地の良い疑似体験でした。
2016/01/04
クプクプ
目的のある旅ほど素晴らしいものはないと感じたエッセイでした。私も若い頃はブラックバスのルアー釣りをかじりましたが、開高健もルアー釣りが好きで、また本の中に写真で写っているルアーが個性的で飛距離の出ない軽いルアーで懐かしかったです。開高健はアマゾン川でルアー釣りをし、アマゾン川のブラックバスと呼ばれるトクナレを釣りました。トクナレは私も釣りたくなりました。著者はドラドも釣りましたし、釣れなかったですが、ピラルクーにも挑戦しました。私は熱帯魚もかじりましたが、著者は野生のアマゾン川の魚を釣り(つづく)
2020/07/29
syaori
開高健によるブラジル釣り紀行。「オーパ!」とは現地の驚嘆、感嘆の言葉だそうですが、作者の行くアマゾンは何とオーパな土地なのでしょう! 鋭利すぎるピラニアの歯に2㍍の大ミミズと見るもの見るものオーパの連続。そして、そんな大アマゾンを前に、46歳(当時)のオジサマがあっという間に野生に返り、ダニも蚊もものともせず目の前の出来事を生き生きと満喫している様子にこちらもわくわくしてしまいます。最後には日常に返る寂しさも綴られますが、体験した「肉の厚い」あの時間は彼の中で生き続けるのだろうなとうらやましく思いました。
2019/10/28
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