影絵 (集英社文庫)
影絵 (集英社文庫) / 感想・レビュー
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
四編の短編集。宮尾氏の生い立ちのエピソードみたいな三篇。どれも買われたり売られたりしていく女たちの話である。そうした女たちの稼ぎで何不自由なく暮らしている自分を恥じる女学生や、貧しい生活から買ってくれた旦那の元で蝶よ花よと可愛がられながらも心の隙間が大きくなっていく少女。どれも幸せではないストーリー。水上勉氏の後書きもしっくりとしてもの悲しい。
2017/10/03
巻 物
リアリティのある文章は、脳みそに直接語りかける。映像が目の奥に立ちのぼってくるから力技だ。実際体験してるみたいにリアルなんだなぁ、これが。昭和初期に生きた娼妓たちと時代の姿が詰まった4つの短編。
2011/05/05
なかつま
リアリティのある文章は、脳みそに直接語りかける。映像が目の奥に立ちのぼってくるから力技だ。実際体験してるみたいにリアルなんだなぁ、これが。昭和初期に生きた娼妓たちと時代の姿が詰まった4つの短編。
2011/05/05
cucciola
宮尾さんの長編作品の間に散らされたような短編もの。長編のような手ごたえはないけれど、相変わらずの印象的な文章で満足しました。彼女の文章は好き嫌いにかかわらず、読んだ後も頭に残ります。
2009/12/28
Sosseki
土佐(高知)、娼妓、大戦前後、大陸、女を囲う成金に近い男等が共通する3短編と、真珠を加工し連(ネックレス)にする女性工と雇い主とも、相棒とも、恋人とも言える店主の話。妓達のあだ花のような哀れな運命、男たちの身勝手、大戦中のスパイ活動、かつて存在したとは言い切れず、形を変えても続いているのでは。気持ちを表す言葉が豊富で、細やかで、適格で素敵だった。貧しく現代人より苦労も多いのだろうが、打たれ強さを感じる。
2023/12/03
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