狂風記(上) (狂風記) (集英社文庫)
狂風記(上) (狂風記) (集英社文庫) / 感想・レビュー
風に吹かれて
1980年刊。石川淳を読む場合、最初に手に取る小説が本作でよかったのだろうか。舞台は現代。代々伝わる恨みを晴らさんとする者たち、企業の繁栄の影で行われる跡目争い、まるで天使が持つ弓のような不思議で魅力的な技を持つ若い女性、我こそが世の進みゆく脚本を書くものとして策を練る者などなど一癖も二癖もある者たちが、亡者のように、そして反亡者のように活劇する。たぶん、戯作や浄瑠璃など江戸期に庶民が楽しんだ風俗的演目を総動員して書かれているのだろう。浮世の憂さを晴らしてくれる怪作、いや傑作である。いざ下巻!
2020/02/24
三柴ゆよし
『狂風記』の連載が「すばる」ではじまったのが、1971年だとかいう。石川淳、72歳のとき。おどろいた。伝奇は伝奇でも、活劇あり、笑いあり、愛あり、そしてセックスありの、これは超ドタバタ伝奇なのである。主人公は広大なゴミ捨て場「裾野」に住まう青年「マゴ」。長野主膳の末裔にしてリグナイト葬儀社を経営する「ヒメ」。貴賎の価値をカーニバルの大狂宴のなかで相対化してしまうのは、石川淳の十八番。下巻に続く。
2010/04/22
丰
Y-20
2005/02/11
モーリス
ふつう
ちび丸
★★★★★
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