いま、危険な愛に目覚めて (集英社文庫)
いま、危険な愛に目覚めて (集英社文庫) / 感想・レビュー
Tanaka9999
1985年第1刷、集英社の集英社文庫。10編。耽美小説のアンソロジー。耽美の書き手として著名な作者から意外な作者まである。実作者としては、一度はこのような耽美小説の範疇に入るような小説を世に出してみたくものなのかもしれない。栗本薫『侏儒』未発表作品を書き下ろしとして収録したものらしい。雰囲気としては江戸川乱歩の雰囲気。この作品は作家デビュー前に書かれた作品なのだろうか。これを読むとこの作者の他の耽美作品はだいぶ書き直されているのではないだろうか、と思わせる。
2023/08/10
マツユキ
司馬遼󠄁太郎の『前髪の惣三郎』が読みたくて、古本で購入。惣三郎、思っていたより年上。なんで前髪残していたんだろう。それぞれそういう反応なのか。他に、川端康成『片腕』、江戸川乱歩『踊る一寸法師』、赤江瀑『獣林寺妖変』、筒井康隆『会いたい』、連城三紀彦『カイン』、宇能鴻一郎『便所の聖者』、小松左京『星殺し』、森茉莉『日曜日には僕は行かない』。『片腕』のみ既読。足を踏み込んではいけない、真似できない世界の妖しさに、うっとり。赤江、連城、小松作品が好みでした。
2023/01/19
佐藤一臣
江戸川乱歩の「踊る一寸法師」、栗本薫の「侏儒」、宇能鴻一郎の「公衆便所の聖者」はあまりに密度が濃い。恐怖と哀しみをここまで濃厚に描かれると、だからこそ、作家らの思想に惹きこまれる心地よさを感じることが出来る。異性というくくりにこだわらず、とにかく耽溺するという快感は理解できる。その他にも司馬遼太郎の「前髪の惣三郎」、小松左京の「星殺し」はあっさりした書き方ながらも、読者の心をつかんで離さないだろう。ホモセクシャルがメインテーマだが美しくどれも描かれている。
2017/05/10
ふくしんづけ
耽美と言っては簡単だが、「正しさ」に追いやられた闇の寵児たち。だが光がなければ闇も無かろうというので。赤江瀑と森茉莉は既読。川端康成は読んでみたいと思いつつ手が出ていなかったのだが、ここまで良いとは思わなかった。司馬「前髪の惣三郎」は編者の言葉通り意外な作風ながら、時代上男色はむしろ今より自然であったので、本書の良いアクセントと共に個人的に白眉な作品でもあった。剣術の描写は秀逸。もちろんメタファーである。「公衆便所の聖者」は目当てであった作品。どう描くのかと思ってたら割と無難に小説に落とし込む手腕に唸る。
2021/02/20
chico
すっごく濃厚。 川端康成、江戸川乱歩、司馬遼太郎、筒井康隆、連城三紀彦などなど、みんな知ってて当たり前の作家が男性の同性愛、というか、耽美を書いた短編集。
2015/04/10
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