靴の話 大岡昇平戦争小説集 (集英社文庫 お 2-6)
靴の話 大岡昇平戦争小説集 (集英社文庫 お 2-6) / 感想・レビュー
まる
[ナツイチ2015]読むのに時間ぎかかってしまいました。予想はしていましたが、読むとずーんと気落ちしますね。淡々と当時のことを振り返っているのがまた重いです。良い人も普通の人も関係なく死んでいったんだなと。生き死にを分ける境界が不確かでこわい。死を意識しての渇きは読んでいて喉が引き攣りそうでした。
2015/12/06
こばまり
慌ただしく応召する時、自分に危害を加え得る対象に肉薄する時、そして俘虜になる時。数多の小説や記録、映画で触れてきた情景であるのに初めて知るような生々しさで眼前に迫る。息をひそめ文字を追うこと度々。
2016/08/18
かおりんご
小説。一気読みしてしまいました。実体験をもとに書かれているだけあって、ぐっと心に迫るものがあります。出征から俘虜になるまでのお話が、短編として書かれています。特に反対もしなかったのだから、こういう状況になっても仕方がないと書く作者に、ドキリとしてしまいました。嫌なことは嫌だと声をあげていかなければ、世の中の流れに巻き込まれてしまいそうです。一人一人が未来の日本は自分がつくるという気合いが大事なんだと、そんな気持ちにさせられました。
2016/05/29
扉のこちら側
初読。2015年686冊め。表題作は死んだ戦友の靴を手に入れて履かざるをえない戦地の話で、他に山中で敵兵を目前にした著者が彼を撃たなかったのはなぜか自問する「捉まるまで」など、極限状態での人間性というものを問う重い作品集。でも感傷的なところがあまりなく淡々とした描写が、逆にこわい。
2015/06/26
かっぱ
戦争小説集。なんだかのびりとした内地での訓練の日々から突然に出征が決まる「出征」。高学歴な者だけが就ける軍での仕事を巡る攻防「暗号手」。現地のゲリラの襲撃に怯える「襲撃」。恐怖と緊張が生む錯覚「歩哨の目について」。マラリアに罹患しながら捕虜として捕えられるまでのジャングルでの長い彷徨「捉まるまで」。新しい軍靴を奪い合う「靴の話」。どれもリアルな戦争が感じられるものばかり。殺すことについて哲学的な思考を重ねる「捉まるまで」、欠乏から決して上等とは言えない鮫皮の靴を欲しがる「靴の話」が印象的。
2017/11/29
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