パンチョ・ビリャの罠 (集英社文庫)
パンチョ・ビリャの罠 (集英社文庫) / 感想・レビュー
mocha
メキシコの革命家パンチョ・ビリャの首を手に入れた小説家と記者が、ならず者、殺し屋、秘密結社、FBIに追いかけられてロスへ逃避行。親友がヘミングウェイで、デートリッヒとは訳あり。オーソン・ウェールズも悪友?第2部では10年後、第3部ではその3年後が描かれ「え〜!?」という展開に。史実を土台によくここまで無茶苦茶な話を作ったものだ。あのブッシュ一族の暗躍にもびっくりする。どこまで本当なのかあれこれ検索しながら読んだ。
2016/01/31
GaGa
解説にもあるが、サム・ペキンパー監督作品「ガルシアの首」のような話を勝手に想定して読み始めたら、それ以上の忙しさだった。主人公が「首」をひょんなことで手に入れてからは、とにかく、しっちゃかめっちゃかに話は進む。どうせ、このまま強引に押し切るのかと思っていたが、第一部39章ぐらいから、話がガラッと変わってくる。でも本質的なテーマは変わらない。読了してみてしみじみ不思議な作品だったなあと思った。私の中では駄作でも凡作でもなく、そして傑作でもない。
2011/11/25
F
1957年、国境の町シウダーフアレス。中年小説家ヘクターはメキシコ革命の英雄パンチョ・ビリャの首を手にする。そしてイェール大学の秘密結社、FBI、CIA、メキシコの悪党らとの首を賭けたゲームに奔走するのだった……首を巡る犯罪小説というと陰惨な話かと思うが、メキシコの陽気かマリアッチの響きにも似て、なぜかカラリと明るい。西部劇風の時代錯誤なロマンティシズムと荒々しさに加え、実在の著名人を登場させながら繰り広げられる20世紀後半の政治・映画・文学への皮肉めいた批評など、ニヤリとさせられる場面が満載。面白い。
2011/11/07
niaruni
あらすじを知って購入していたので、思うことの多かった去年はちょっと手が出なかった。年が改まったところで読んで、ようやく愉しめた。馬鹿馬鹿しいのだけれど、その馬鹿馬鹿しさが痛快。1957年が舞台になっているので、そこはかとなくノスタルジックで、よく考えるとかな~りグロい話なのに、筋立てにしろ、登場人物の造形にしろ、なんとなく品がいい。ノワールとして、ピカレスクとして読むとちょっと物足りないのかもしれないけれど、そんなジャンル分け、愉しければ別にいいじゃん?って思える。エンタテインメントはそうでなくっちゃ。
2012/01/16
すけきよ
スピード感、軽々しいヴァイオレンス、ブラックジョーク、にまぶされた安っぽさは現代のパルプ的。そもそも、マクガフィンがミイラ化した首というのが悪趣味だし、それを狙う目的も(客観的に見て)かなり馬鹿馬鹿しい。首のダミーを作るシーンはひどすぎて笑ってしまったよ。物語は、1957年、1967年、1970年の三部構成だけど、90%が第一部に費やされている。しかし、残りはけっしておまけでなく、特に三部のラストときたら、ここに来てアメリカン・ニューシネマ的疾走感、美しさ。ラストのカッコ良さだけでも、読む価値あったな。
2011/10/25
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