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終焉 (集英社文庫)

終焉 (集英社文庫)

終焉 (集英社文庫)

作家
ハラルト ギルバース
酒寄進一
出版社
集英社
発売日
2018-07-20
ISBN
9784087607529
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終焉 (集英社文庫) / 感想・レビュー

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KAZOO

この著者によるベルリン三部作のうちの最後の本です。もとユダヤ人刑事が1945年のロシア進駐時のベルリンでの自分にかかわる出来事あるいはギャングとの抗争などに巻き込まれたりした話です。今回はソ連軍の管理下という状況での話でやはりドイツ人らしくみっちりとした構成で当時のベルリンやそこにいる人々の生活事情などがよくわかりました。解説が私が愛読している堂場瞬一さんでかれの最近の作品の「焦土の刑事」という作品も読みたくなりました。

2019/01/02

ばんだねいっぺい

 ゲルマニア、オーディンの末裔と来て、終焉。小説中の「もう、変化は十分だ!」は、今の自分にとてもよく響いた。ベルリンの街にナチスが去ってもソ連兵がやって来る。その緊張感たるや、神経がすりきれる日々だろう。 そのなかに悲劇が起き、不器用ながらもそれぞれの方法で立ち向かう物語だった。

2020/04/23

星落秋風五丈原

本書は【炎】【灰】【光】の三章構成。炎で人も建物も焼かれて、全てが灰になる。しかしその後には光がある、と読み解ける。これから膨大な賠償金を支払い、ベルリンさえ分割されるのに、どこに光=希望があるのか、と思うかもしれない。希望の鍵は、女性たちが握っていた。戦争で最も標的にされず、力も弱い女性達が、辛い過去をひきずりながらも立ち上がる力を持っていた。本編ラストでは日本に起こったある出来事がドイツに知らされる。戦争が終われば再び戦争を始めずにはいられないのが男達。しかし瓦礫の中から新たな光を見つけ出すのは女達。

2019/01/03

tom

シリーズ最終巻。主人公のオッペンハイマーは、妻を強姦したならず者を追いかける。同時並行して核爆弾の材料の捜索。あれやこれやが入り混じって終結に至る。シリーズの中では、もっとも緊張感が乏しい印象。ドイツでの戦争が終わり、それまでのいつ死んでしまうか分からない状況ではなくなってしまったのだから、当然のことかもしれない。いずれにしても、読み応えのあるシリーズでした。

2019/04/08

maja

ユダヤ人元刑事のシリーズ3作目。1945年大戦終戦時のベルリン。ドイツ敗戦でナチスの脅威はなくなったがソ連の脅威が押し寄せる市井の情況など雰囲気がよく伝わって来る。ソ連側にもアメリカ側にも都合よく使われ、胸の内は妻を守れなかった事で忸怩たる思いを持ちながら、生き延びるために巧みに駆け引きしてオッペンハイマーは奮闘する。ナチス侵攻のパリ陥落時、ナチスから重水の入ったカバンを守りイギリスに渡る教授の仏映画を思い出す。

2018/09/18

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