泥棒はスプーンを数える (集英社文庫)
泥棒はスプーンを数える (集英社文庫) / 感想・レビュー
Tetchy
また1つ愛読してきたシリーズが終わってしまった。哀しいけれど何事も引き際が肝心で、寧ろこれほどのクオリティを保って幕を閉じるからこそ有終の美がある。数多くの蘊蓄や寄り道は作者の内なる書きたいことを最大限に放出したことに他ならない。彼の中にある興味あること、教えたいことを極力多く入れたかったのだ。老人が若者に酒を片手に蘊蓄を傾けるかのように、古きアメリカの歴史や昨今の出版事情などを聴くが如く、読むのが本書の正しい読み方だ。バーニイよ、物語は終わっても貴方の人生は続くことだろう。NYで、そして我々の心の中で。
2019/07/06
里愛乍
ミステリとしてのストーリーも面白いが、彼らの会話が最高に粋。という評判を聞いていたのでかなり期待して読み始める。確かに!バブルの頃に夢中で視聴していた海外ドラマを思わせる。泥棒探偵バーニィをはじめ、登場人物もお洒落で魅力的。ラストで言うバーニィの台詞も素敵だ。改心なんてトンデモナイ!若竹七海さんの掌編(解説?)もサプライズで嬉しい限り。最後まで小粋でお洒落な一冊でありました。
2019/05/10
Shun
約10年ぶりの新刊となる本書、最終巻だがここから読み始めても難なく楽しめました。主人公バーニイ・ローデンバーは書店経営の裏で依頼を受け蒐集品を盗みつつも、顔見知りの刑事からはとある殺人事件の協力を要請される。いくつかの出来事が同時進行し流れるような話の展開と、親友キャロリンとのいきつけのバーでの会話はユーモアが効いていて面白い。以前に全国紙で伊坂幸太郎さんがおすすめしていた理由が分かる。どこかギャングシリーズのような雰囲気があり好みです。さらにおまけの掌編で若竹七海作品の葉村晶が登場するという小粋な演出。
2019/04/09
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん
面白かった。大統領選挙の応援バッチのコレクターというまたまたコアな物のうんちくがいっぱい出てきて、大変勉強になった。レイ刑事ともなかなか良好な関係を維持できたみたいでそれもよきかな。
2023/09/12
アリーマ
11年ぶりの泥棒バーニーシリーズ。始まったのは1977年。若い頃に楽しく読んで、新作を楽しみにしていたっけ。こんなスタイルの軽いコージーなミステリは、本シリーズで初めて触れたのだった。あの頃は中年に差し掛かったバーニーや仲間たちのお洒落な言動に、なんだか漠然と憧れていたっけ。そしてバーニーたちは相変わらず中年のまま、ワタシは初老期に入って不思議なギャップと戸惑いを感じるのも楽しい。謎も事件も緩やかで非常に軽い話だが、変わらぬウィットを楽しみに次作を待つ。作者もすでに80歳。元気で長生きしてくれますように。
2018/11/20
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