ドストエフスキー ポケットマスターピース 10 (集英社文庫ヘリテージシリーズ)
ドストエフスキー ポケットマスターピース 10 (集英社文庫ヘリテージシリーズ) / 感想・レビュー
優希
ドストエフスキーの魅力を1冊で味わえるのがお得だと思います。有名な4大作は一部しか紹介されていないものの、物語の導入になるのではないでしょうか。完全作は『白夜』のみで、殆どが抄訳やさわりですが、難解で長編が多いため、このような形で収録することでドストエフスキーに触れるきっかけとして最適だと思います。
2016/08/14
壱萬参仟縁
ドストエフスキー生誕200年。「未成年」:僕は金など要らない。権力がなければ、自分の力を実感することもない。自由の定義でもある(150頁)。僕は散らかった書斎が好きだ—読書を、厳かな儀式とはしないような(167頁)。散らかりすぎも考えものだけどね。人は笑っているとき、寝ているときと同じで、自分がどんな顔をしているかわかっていない(274頁)。盲点だぇ。「ステパンチコヴォ村とその住人たち」:おじはあまりにも優しく美しい心の持ち主。理想の世界に生きていて、うまくいかないことがあれば、自分を責める(374頁)。
2021/11/04
ころこ
『未成年』は縮約で、読了出来ない可能性を考慮するとむしろこれを読んでおくだけで十分かも知れません。『ステパンチコヴォ村とその住人たち』は抄訳で、最近の日本語で読める唯一の訳として非常に貴重です。まず「ステパンチコヴォ」という音の響きが日本語話者からしてロシア文学としてはまっていますし、ポリフォニーとカーニバル性を共に備えた作品として、単に文庫で翻訳が出ていないというだけで隠れた名作となり得るのではないでしょうか。『四大長編読みどころ』は簡単な解説とそれぞれの名場面が抄訳してあります。確かにそれぞれ良い場面
2022/05/09
Tomoko.H
未読の『白痴』『悪霊』の解説、抜粋は除く。『未成年』短縮版のせいだけではなさそうだけど、誰だっけとか何だっけってなることが多く、なかなかわかりにくい。『ステパンチコヴォ村とその住人たち』滑稽?!いや…まともに読んでたから、フォマーの無茶苦茶とそれに支配されるおじさんがあんまり過ぎでこっちの頭がどうかなりそうだった。賭博で素寒貧になって妻に書いた手紙が必死すぎて笑えた。「もうしない、もうしない、絶対にしない。…最後にもう一度信じておくれ…」
2017/01/12
やまちゃん
「未成年(短縮版)」が入っていたので、新潮文庫版を読む手助けにと購入しました。「白夜」でもと思い読んだら訳が新鮮でみんなけっこう面白かったです。「白夜」は霧のペテルブルグでの若者の美しく切ない話、「スチェパンチコヴォ村とその住人たち」は起伏の激しいドタバタ喜劇で、端役の少し気の触れた青空のような瞳の女性の最後の優しさはしみじみといいなと思いました。4大長篇の核心部分も引き込まれ、気分が高まればまたいつか読むのかな。書簡で4年間のシベリア流刑の驚くべき過酷さを初めて知りました。与えられた本は聖書だけだった。
2018/03/04
感想・レビューをもっと見る