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綴られる愛人

綴られる愛人

綴られる愛人

作家
井上荒野
出版社
集英社
発売日
2016-10-05
ISBN
9784087710120
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綴られる愛人 / 感想・レビュー

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starbro

井上荒野は、面白そうな新作が出ると読む作家です。本書は、仮想現実文通恋愛ミステリといった感じでしょうか。もう少し衝撃的な結末が待っているのかと期待しましたが、不完全燃焼でした。今の時代だからこそ、タイムラグのある直筆の手紙が新鮮なんでしょうネ。ネットでは簡単な成りすましも、リアルな手紙だと難しいんだろなぁ!

2016/11/19

じいじ

 よくあることだが、タイトルと帯のコピーから想像していた内容と違うことが…。夫の抑圧から逃れたい女が、大学生の男と手紙だけでつながるの恋物語。書き手が井上荒野だけに、ストーリー構成と文章はさすが巧みで読ませてくれるが…。個人的感想を言えば、これはしっくりいかない作品だった。文通のキッカケとなる「綴りの人の会」からして、巷で言われる出会い系風俗を連想させられる。互いに自分をカムフラージュして手紙交換が面白いところなのだろうが、実像とのギャップに嫌悪感を感じた。男のキャラがまったくもっていただけないのが残念。

2017/01/13

おしゃべりメガネ

う〜ん、残念!井上荒野さんでタイトルに「愛人」なんてあったら、やっぱり期待?してしまいますが、正直消化不良気味でした。お互いに年齢や身分を偽りながら、手紙のやりとりを繰り返す男女の少し歪んだお話です。35歳のエリートサラリーマンと偽る21歳の大学生と28歳で夫からDVを受けていると偽る35歳の主婦の間で、展開される手紙のやりとりがここ最近にはない作風で最初は新鮮でしたが、途中ならちょっと飽きがきてしまいました。もっとドロドロとした男女の憎愛がこれでもかというぐらい展開されるのを期待しましたが、普通でした。

2016/11/05

ケイ

二人の手紙のやりとりは、途中から退屈だった。騙し合いはあるとして、互いにこれほど信じ合える事が全く現実感がなくて。ミステリだ、と思ってからはのめり込む。考えてみれば、手紙は出してしまえば自分が何を書いたかは、日々曖昧になっていくのだ。パソコンやスマホでのやり取りは、互いの連絡が簡単なようで、実は過去のやりとり全てが互いの目に簡単に晒される。消去したデータは回復させることも出来るが、燃やせばなくなる手紙。陳腐な結末だなと思いながらも、手紙について気づけたことが、何かを残す。

2018/03/22

風眠

手紙だから、なのかもしれない。どんな自分にもなれるし、どんな想像もできる。そこに嘘が混じっていたとしても、書き続けるうちに、願望が現実のものになるかもしれない。そんな危うい感情がふくらんでいく。夫の過剰な支配から逃げたい、けれど、その支配に愛着も感じている人妻。現実ではパッとしない自分が、手紙の中では「可哀想な人妻」を救うヒーローになれる地方の男子大学生。綴り人の会という、匿名で文通ができる会で知り合ったふたり。自分の現実と向き合わず、互いに互いを利用した。明と暗、愛の幻。人の心の摩訶不思議さを問う物語。

2017/05/20

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