タイムマシンでは、行けない明日
タイムマシンでは、行けない明日 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
畑野智美は全く知らなかったのだが、タイトルに魅かれて購入。これが期待を大きく上回って、新年早々に幸先のいいスタートとなった。タイムマシンが物語の軸になっているのだが、主題や小説の本質はかならずしもそこにはない。しいていえば、自分ではけっして操ることのできない運命や、人と人との出会いの偶然と必然の持つ哀しみと受容といったものだろう。そして、もう一つは現在すでにその兆候が見られる、近未来の社会の姿の予測がさりげなく語られる。これまた、悲しくも寂しいディストピアなのだが。結末を案じたが、これまた見事だった。
2024/01/01
しんたろー
『ふたつの星とタイムマシン』が良かったので引き続き畑野さん2冊目。一行で言えば「彼女を救うためタイムマシンで事故を防ごうとした青年」の物語で、よくある感じだが……情景と人情を丁寧に過不足なく描く文章と活き活きした会話で安っぽくなく読ませてくれる。主人公を始めとした人物の誰もが好感が持てて感情移入できるのもイイ。タイムマシンを使う事による功罪で孤独に生きる主人公を応援しながら、時に涙した(長谷川さんの件と父親の件は洪水)。「出逢うべき人には何が遭っても出逢う」運命を感じるテーマもロマンチックで好きだった。
2018/01/16
❁かな❁
いっぱい泣きました。大切なものを失いたくなくてどうしても変えたかった未来。私もやり直せるならやり直したいこともある。タイムマシンで過去に行き変えることができるならと思うけどそのことで失うものもあると思うと…。P272で涙腺崩壊。父との会話や登場人物達の切ない想いに涙。畑野さんの作品を読むのは5作目。すごく良かったです!『ふたつの星とタイムマシン』とリンクしています♪合わせて読むのオススメされましたが納得!ラストも素敵*幸せを願わずにはいられない。大切な人には出会うべくして出会う。とても切ないSF恋愛小説。
2017/10/30
シナモン
図書館本。事故で亡くなった好きな人を救うため、過去に遡り事故自体を阻止しようとした主人公丹羽光二。だがタイムマシンでたどり着いた世界では自身が事故死していた。元の世界に戻れなくなった丹羽は平沼昇一として生きていく…。因果律、パラレルワールド、いくつもが絡まりあって物語は展開する。父親と平沼として会う切なさ。人と人との出会いは奇跡のように見えて、最初から決められてるのかもしれない。ちょうど今観ている「テセウスの船」を思い出した。一期一会、出会いは大切にしなくちゃ。
2020/03/02
いつでも母さん
SF恋愛かぁ・・なんて思っているとがーんと叩きのめされる。畑野作家の紡ぐ『愛』に私は落涙。こんなに哀しい優しさに包まれたなら(ユーミンの歌ではない)いつでも何度でも私は貴男を待つよ。そしてきっと貴男を見つけるから・・
2017/11/19
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