腐れ梅
腐れ梅 / 感想・レビュー
ナイスネイチャ
図書館本。北野天満宮がどのように造られたか?どこまでがフィクションなのか興味深い。坊主と巫女と貴族の金を絡めた争いなど泥沼化して面白かった。表題の意味も読んで理解。
2017/08/27
いつでも母さん
時は平安。いや~澤田作家、出だしからやりますな。北野天満宮はこうして出来たのか?どこまでが真実なの?と思ってしまうくらい表は巫女、裏は色を売る女『綾児』が好い。いや、何が真実かは『信じる者は救われる』の例え通りだろう。共感などこれっぽちも出来ないが、この女の強かさが逆に清々しくもある。振り回される康明が憐れだ。そして結びの一行が効く。道真の梅もびっくりのまさしく腐れ梅とは巧いタイトルを付けたものだ。
2017/12/19
あさひ@WAKABA NO MIDORI TO...
「ほとがかゆい」。巫女の姿を借りて男を客にとる綾児。菅原道真公の威徳を祀る北野天満宮を巡る覇権争いの一人として描かれる綾児。平安時代の開放的でおおらかな風俗とともに、疾走感のある筆致はさすが。「腐れ梅」とはちょっとあまりにも・・・とも思えるが、あれこれ考えずに、単に娯楽作品として楽しむ。これまでの澤田さんとは少し違った、気軽に読むにはいい作品かもしれません。
2019/11/16
まこみん
「火定」で感銘を受けた澤田さん。こちらは藤原道真が太宰府で亡くなって40年程後の平安の世。似非巫女の綾児は同業の阿鳥から道真の怨霊の噂を利用して御霊を祀る事を持ち掛けられる。道真の孫やその元学友の僧も絡み、其々が自らの利己的な思惑のままに手を組むことに。綾児をはじめ登場人物の殆どがお互いへの信頼感等無く、憎しみ足を引っ張り合い、読んでいるうちに人間の醜さに幻滅してしまう程。だが綾児が貴族より自分に近い身分の者達を味方に進む様は、崩壊しつつある律令を踏み越える勢いが伝わる。古からの男女の性、生きる事の欲望。
2018/04/14
モルク
平安時代、巫女を表向きに色を売る綾児は、同業の阿鳥から菅原道真の怨霊を祀る儲け話を持ちかけられる。道真の子孫や僧侶も絡み、各々の思惑のままに次第に事は大きくなる。北野天満宮の創成にまつわる話ではあるが、誰も信用信頼できない中、利用したり足を引っ張ったりどろどろに落ち込んでいく。阿鳥の出自は、想像通りなのか気になる。
2018/09/25
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