じごくゆきっ
じごくゆきっ / 感想・レビュー
starbro
桜庭一樹は、新作中心に読んでいる作家です。『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』の後日譚が含まれているとのことですが、本書を読んでいないので、真っ新な気持ちで読みました。良い意味でごった煮のような短編集、オススメは『ビザール』、『じごくゆきっ』、『脂肪遊戯』の3作です!!!
2017/07/14
いつでも母さん
この世界観、嫌いじゃない!短いのから長いのまで7作ともぞわっとして、哀しくて、いや~な感じがして・・でも、最後まで読んでしまう。桜庭一樹の真骨頂じゃないだろうか。本能の中の言葉たちが踊りだす感じが堪らなかったりする。そんな受け止め方をするときの私は要注意なのかもしれない・・
2017/07/11
風眠
トゲトゲした言葉の裏に隠された、誰にも言えない苦しみ。本当は「助けて」と心が叫んでいるのに、何でもないふりで生きていく。この狭い世界から自分を解き放ってくれる誰かを求めるように、さすらいにも似た日々は続く。暴力、近親相姦、共依存、虐待、殺人・・・心に鍵をかけ、自分をからっぽにして、深く考えず通り過ぎるのを、ただ見ているだけ。こんなに哀しい苦しいことって、あるだろうか。狭い世界しか知らないから、過酷な現実から逃れるすべを持てない。愛したい、でも愛しかたが分からない。傷つき病んだ心は、一瞬の刹那にさまよって。
2017/07/07
ダミアン4号
子供の頃、熱を出すと“黄土色”の夢を見ました。楽しい事も素敵な事も夢の中だからあるんですけど…熱の所為なんでしょう…最後は苦しくてどうにもならないもどかしさの中で“黄土色”のスクリーンに覆われて目が覚める…この本はそんな雰囲気の短編。最初の“暴君”と最後の“脂肪遊戯”は登場人物が重なります。どの物語にも決してハッピーエンドとは言えない結末が待っていますが何故か引き込まれる…病院で介護施設で遠く離れた町で思い出の様に事件を語る登場人物…彼らに幸せは訪れたの?グロい惨たらしい様子をさらっと言葉にしちゃうから?
2017/08/05
のぶ
7つの短編が収められているが、それぞれにどれも統一性はない。ただ、どの作品も独特の桜庭ワールドに支配されていた。桜庭さんの作品はこの本に限らず本作も、自分には物語の登場人物に感情移入しづらいし、文章もどことなく暗い。可笑しいような、物悲しいような世界が展開する。別に大きな話題をテーマにしている訳ではないし、生きることや幸福になることを否定はしていない。あらすじや作者が主張しようとしていることを述べよと言われるととても難しい。この本もそんな桜庭さんの一冊。
2017/07/15
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