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水の匂いがするようだ 井伏鱒二のほうへ

水の匂いがするようだ 井伏鱒二のほうへ

水の匂いがするようだ 井伏鱒二のほうへ

作家
野崎歓
出版社
集英社
発売日
2018-08-03
ISBN
9784087711493
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水の匂いがするようだ 井伏鱒二のほうへ / 感想・レビュー

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harass

図書館で見つけ読む。雑誌連載の井伏論をまとめたもの。この作家を水、魚などのキーワードで、作品と彼の人生から論じていく。ドリトル先生などの翻訳が有名だが、原典をでっち上げた架空の翻訳をいくつも書いているという。黒い雨の盗作騒ぎがあったが、参考とされる手記との相違点があり、これは別作品と考えていいだろう。ほかの作家たちとのエピソードなどがあり、いろいろ面白い。井伏のファンだった高校生の太宰は、井伏自身が貧乏を自嘲する文を読んで、少額の小為替をファンレターに同封して、返事をもらって大喜びしたとか。良い文章。

2018/09/30

鬼山とんぼ

参ったなあ、今どき井伏鱒二の評論が出てきて、それがこんなにレベルが高いとは。よほど野崎さんは好きなんだな。多分マニアックな読書家しか代表作以外を手にする者はないと思うのだが、最初の一編が予想外に好評で続編も頼むよということになったのだろう。こんな評論を掲載させたすばるが偉いということか。感謝。70年に中学に上がる時に偶然『七つの街道』を買い井伏を知ったのだが、その後は山椒魚ぐらいしか読んでいない。しかし甲府の常盤ホテルなど井伏が泊まった宿に投宿することが重なり、洒脱で嫌味のない人柄らしいことは知っていた。

2024/01/06

けろ

野崎歓氏が井伏鱒二について書いていることが意外であったが、大変に素晴らしい内容であった。もう長い間本棚の奥に並んだままになっている『井伏鱒二自選全集』(40年近く前に買いそろえたものだ)をこれからまた少しずつ読んでいこうと思わせてくれた。本当の読書の楽しみを自分は長い間味わってこなかったかもしれない。

2023/05/09

AR読書記録

本の感想でなくて自分のことになってしまうんだけど、そういえば、小説は好き、評論・研究書も好き、なんだけど、それを関連させて読むということをあまりしてこなかった。小説を読むということはかなり個人的な体験と思っていて、好きなところ、刺さるところ、解釈なんかはそれぞれに拠るというか、どう読んでもいいよねという感覚。でもやっぱり、自分では見つけられない視点や知識を得た上でもう一度読む、確認して新たな体験をしてみたら、一編の作品から得られるものもぐっと多くなるだろうなとようやく思い至ったので、井伏鱒二から始めたい。

2020/10/07

kuriko

え?野崎歓氏が井伏鱒二?何故??と思って手に取ったけど・・・すごい。井伏鱒二すごい。すごい人だとは思ってたけど、こんな風に(方面にも?)すごい人だとは知らなかった。太宰治との関係も知らなかった。とりあえず本棚にある『珍品堂主人』を読み返したあと他の作品もいろいろ読んでみたい。なんなら全集も・・・という気にさせられた。

2019/06/06

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