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花折

花折

花折

作家
花村萬月
出版社
集英社
発売日
2018-11-26
ISBN
9784087711691
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花折 / 感想・レビュー

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いつでも母さん

圧倒的なイボテンの絵から逃れられない鮎子『女という性に還元できる人の真の姿を描いた』ところまで行きつくのに正直お腹いっぱいでリタイアか・・と思った。咲き乱れ、無数の折れた花ーは女の象徴たりえると綴る花村萬月の世界がここにもありました。誰に媚びる事も無く己の感ずるままを堂々と作品にするのは、この鮎子に重なって見えました。芸術家の家庭が皆こうだとは思わないけれど、花村作品はいつも自分が『普通』だと感じさせてくれる。が、普通って何?

2019/01/09

starbro

花村 萬月は、ほとんどの作品を読んでいる作家です。花村 萬月作品史上、性悪の肉食S女子が登場しました。芸術とエロスは表裏一体なのでしょうか? 本作に登場する絵画を実際に観てみたいなあ。 【読メエロ部】

2018/12/25

どんぐり

十数年振りに読む花村萬月の新作。父親を絵描きにもつ芸大生の鮎子がイボテンさんに出会って性に目覚める愛と生の冒険。この作家が書くとスケベー小説に決まっているが、それが変わっていなかったのが少々残念。主人公が女性でありながら、その性描写は荒々しく男根主義が陳腐化して澱んだまま。これも萬月ワールドといっていいだろう。那覇の栄町社交街の高齢化した売春婦が出てくるあたりは面白いのだが、性描写が長いのには飽きる。それでも萬月40冊目読了。

2019/02/04

うわじまお

悪玉女王・鮎子の冒険。セックス、暴力、ドラッグ、藝術・・・萬月さんでした。

2019/03/19

竹園和明

性愛を描いた作品が多いのは、それが答えのない暗い闇だからだろう。一方芸術にも正解はなく、己の世界を破れずもがき苦しむ芸術家は多い。…父から絵の才能を受け継いだ鮎子。藝大入学後、ホームレスのように暮らすイボテンなる男の描く絵に強い衝撃を受け、吸い寄せられるように身体を重ねる。彼の自死を経てもなお、彼の支配から逃れられない迷路に嵌まる鮎子。そして性愛と芸術を昇華させ、絵描きとして開眼する鮎子の力強さが圧巻。心の闇を超え鮎子が辿り着いた世界が清々しい。地を這う液状生物のようにどろりとした文体が白眉な傑作だった。

2019/02/09

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