カモフラージュ
カモフラージュ / 感想・レビュー
starbro
元SKE48&乃木坂46の松井 玲奈の処女作ということで読みました。ヴァラエティに富んだ短編集、元アイドルの肩書がなくても評価されそうな新人女性作家の佳作です。私小説的でなく、創作小説なところも評価出来ます。オススメは、『ハンドメイド』&『完熟』&『拭っても、拭っても』です。次回作も期待しています。
2019/05/11
パトラッシュ
人は誰も生き辛さを抱えながら、社会に適合したように装っている。周囲に気取られぬようにしていた化けの皮が剥がれたら、日々の生活に紛れていた苦い負の感情が露出してくるのだ。6編とも大きな事件やドラマはないが、どんな人間にも不可欠な「食」がきっかけでカモフラージュが暴かれていくプロセスが面白い。一時期はやった「奇妙な味」の小説に似ているが、それらにあった皮肉やブラックユーモアが感じられない分新しい味を出している。日常を切り取って小説化する筆力は見事だが、文体に癖がなさ過ぎて淡々と読めてしまうのが物足りなかった。
2021/04/20
nobby
この人の書く文章は実に素直に頭に入ってくる。“食”に絡めた6短編だが、まずは若き女性ならではの横恋慕や体型コンプレックス、絆創膏へのトラウマなんて心情が非常に切なくも心に染み入るのが印象的。それが最後には“自分”を思い出し奮い立たせ、しっかりと前に進む結末にもホッと出来る。その一方で、とても同じ人が描いたとは思えないほどのグロさや官能を垣間見れるのには驚くばかり!個人的には、驚愕の展開から重なる想像で、もう普通にパンに塗るのも恐ろしい「ジャム」と、桃への執着なエロさにゾクゾクする「完熟」がたまらなかった…
2019/08/15
ウッディ
元SKEの松井玲奈さんの短編小説集。バラエティに富んだ内容で、文章も上手で読みやすかった。とは言え、「元アイドルの」という修飾語が付きまとう一冊でした。彼女のいる男性に手作り弁当を用意する2番目の女の悲しさを描いた「ハンドメイド」は、2番目というSKEでの彼女の立ち位置を表しているのか?や、桃に齧り付くフェチズムを描いた「完熟」は、大勢のグループの中で目立つための独特の嗜好を表しているのか?など‥。カモフラージュせず、自分の内面を表した小説を書く時、一皮剥けた作家松井玲奈が誕生するような気がします。
2019/12/01
美紀ちゃん
あんなに美しく可愛いアイドルの松井玲奈さんからこんな「ジャム」みたいなすごい作品が出てきたことに驚く。この話はグロくて絶対に映像化できないレベルでやばい。 「完熟」はとてもエロいい。 「リアルタイム・インテンション」は勢いがあって面白かった。 短編集6作どれも面白い。松井玲奈すごい。累々も楽しみ。
2021/03/08
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