生のみ生のままで 上
生のみ生のままで 上 / 感想・レビュー
ヴェネツィア
10代で鮮烈なデビューを果たした綿矢りささんも35歳(本書の執筆当時)。こんな小説を書くようになった。なんだか、親戚中の期待を背負った姪を見ているような言い方だが、ついそんな気分になってしまう。さて、本書の新境地は女性同士の間の愛を全うすることの可能性を追求したこと。これだけ性の多様化が認知されようと、それはまだまだ観念的な領域でのことなのか。男である私にはわかりかねるのだが、女性におけるバイセクシュアルは案外普通の事なのだろうか(もっとも、彩夏はホモセクシュアルのようだが)。私は自分がヘテロ⇒
2023/06/15
starbro
綿矢りさは、新作中心に読んでいる作家です。著者の新境地でしょうか、少女漫画チックな同性愛小説、上巻まではありがちな内容です。下巻では、どういう結末を迎えるのでしょうか?続いて下巻へ、トータルの感想は下巻読了後に。【読メエロ部】
2019/07/16
bunmei
BLの小説や漫画が話題を集める中、本作は、綿矢りさらしい感性で、女性の同性愛を赤裸々に描写した作品。性愛の本能さえも超え、最近よく聞かれるLGBTという枠にも囚われず、男女関係なく、ただ一瞬の内に恋に落ちるようなストレートな恋愛感情を、痛々しくも、生々しい筆致で迫ってくる。自分は決してそんな性癖が無いと思っていた主人公・逢衣が、彩夏の執拗なまでの恋慕に打ち解け、絡み合っていく様は、男女の関係以上に、互いを想うピュアな感情が存在していると感じさせる。逢衣と彩夏、そして颯との今後の運命を乗せて下巻へ…。
2022/06/28
パトラッシュ
上下巻を通読した感想は「困惑」だった。第一に逢衣と彩夏があまりに突然恋に落ちる点。恋愛小説は『谷間の百合』や『ドルジェル伯の舞踏会』などを好むので、作中で主人公たちがどのような心理的プロセスを経て愛し合うのか描かれていないのに唖然とした。第二に登場人物が善人ばかりな点。ヒロインズの彼氏たちは自分の恋人が同性愛に目覚めても困惑しつつ身を引くし、周囲も理解者が多い。彩夏の母親は生活苦に打ちひしがれているだけだし、唯一、明確な悪意を示した彩夏の後輩の凛も、その理由を明らかにしないまま消えてしまう。(下巻に続く)
2019/07/17
hiro
綿矢さんの本は14冊目。『きのう何食べた?』など最近のドラマでも、同性の愛を描いたものが多いので、女性同士の愛を描いたこの作品もまったく違和感なく読むことができた。愛し合うようになった逢衣と彩夏の関係がもし壊れるとすれば、彩夏がいる芸能界というところが邪魔をするのでだろうと、思いながら読み進めていったが、芸能界を描いた『夢を与える』、そして『ひらいて』というの綿矢さんの二作品を思い出した。さて下巻では、逢衣と彩夏の愛はどのように進展するのだろうか、もちろん続けて読みます。
2019/07/21
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