いつかソウル・トレインに乗る日まで
いつかソウル・トレインに乗る日まで / 感想・レビュー
みも
観念的で一読での理解は困難だが、甘美な言葉の数々は幻惑的で心地よく、現実感を失わせ酩酊感を伴いまどろみをいざなう。ひらがなを多用した流暢な文章で紡ぎ出す時間は、早春の小川の様に清冽で静やか。そこに揺蕩う情念の欠如した村上春樹的平淡な行雲流水の男女は、一葉の浮き葉の心許なさと浮遊感があるばかり。逐次挿入される恣意的で上質な逸話は質素な装飾の態であり、小石を投げ込んだ際の水面に広がる波紋の様。そして、星屑の様に散りばめられた哲学的色彩を施した「愛」の言葉達は、時空を彷徨い、往来し、甘やかな妄想を肥大化させる。
2018/02/28
あお
前に読んだ二冊とは趣きが違うが、凄く好きな物語。 簡単に言えば家庭を持つ50代の男が異国の地で、現地を案内する若い女に恋をするって話なんだけど、主人公のケンジが自分の半生を見つめ、生きること、人を愛することを学んでいく姿が良かった。ケンジはソウルトレインに乗れたのだろうか?
2014/06/06
のうみそしる
革命についてとか、過去についてとか、あんまり関係なくなっちゃうのね。でも、繊細な心の動きとか、意識しなきゃわからないような感覚を呼び起こしてくれる、まわりくどすぎない丁寧な会話はお見事。ラストはちょっといただけないなあ
2015/04/27
ちゃこ
たくさんの上質な物語が込められたお話。恋愛は魔法なんですね。最後の展開には映画を見終わったような素敵な読後感を味わいました。
2011/12/13
猫草
著者初の、そして最後の超純愛小説らしい。最期の落ちは予想できたが、月並みな恋愛感情では理解し難いが、現実離れした二人の世界に憧れもする。
2011/01/24
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