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聖家族

聖家族

聖家族

作家
古川日出男
出版社
集英社
発売日
2008-09-26
ISBN
9784087712551
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聖家族 / 感想・レビュー

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さっとる◎

【大長編祭】二段組ハードカバー700p超、重さ約700g。正月三が日で読み終えるはずもなく。新年早々半分死にがけで、そだげども、読み終わったばい。濃厚濃密重厚な読書。三人の兄妹、妄想の東北、東北の妄想が物凄い重さで700年の歴史で眼前に。記憶と記録が拡散し続ける。平成元年で時を止めた白石。大潟は記録としての前世を思う、八郎!未来都市郡山にはビッグアイが屹立し。牛の兄さんと羊の兄さんは鎧わずに鎧う。拳と剣。白鳥が、雷鳥が、カナリアが、鳥居が狗が天狗が神隠しが。ファミリー!時間の縛りを易々と超えたメガノベル。

2017/01/07

さつき

青森の旧家に生まれた三人兄妹の長い長い物語。都から見て丑寅の鬼門、東北と呼ばれる地域で起きる様々な出来事。十三湊の繁栄。八郎潟の埋め立て。戊辰戦争での会津の悲劇。斗南藩。時代を超え綿々と続く物語に飲み込まれ翻弄されました。我が家に伝わる伝統を尊んで、受け継ぎ、また子にも伝えていくということ。それは決して喜ばしい面ばかりではなく当事者は気がつかなくても、その業や怨念も引き継いでいくことなのでしょう。この作品は東日本大震災前に書かれていますが、震災を経た今読むと搾取され続けた東北の痛みを感じます。

2016/09/03

ハチアカデミー

これが僕らの歴史小説! 史実、と思われている歴史を素材に、物語が増幅する。アレとコレとが結びつき、壮大な東北史、それぞれの日本史が形作られ、また現代の僕やお前、彼らのルーツとなる。DJのように、記録をミキシングすることで生み出された壮大なグルーヴ=物語である。音に意味はない。意図はない。同様に本書の謎は謎にあらず、その場限りの物語だ。だから本書は完結し得ないし、いくつものサブストーリーが書きつがれていくだろう。現代における、ポップカルチャーとしての小説を体現した一冊。なぜに本書に直木賞を与えなかったのか!

2013/07/18

三柴ゆよし

妄想としての東北あるいは大法螺東北史。スタイルの変化のなさはひとまず不問に付す。オモテとウラ。記録と記憶。父系と母系。里と山。剣と拳。ガルシア・マルケス『百年の孤独』の傍流にして、柳田國男『遠野物語』、半村良『産霊山秘録』の嫡流。反民俗学の装いをまとった正統民俗学。無論、偽史としての。二段組み738頁という質量を感じた瞬間、畢竟本書を紐解く以前から、読者はすでにフルカワの掌中にある。あまりに戦略的、あまりに挑発的。願わくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ。

2010/01/01

Nicø

ふう。妄想の東北。表の歴史(記録か)と裏の歴史(記憶か)と、語られない表の歴史(記録か記憶か妄想か?)。やはり古川日出男は魔術師だ、とか、思っちゃいますね、やっぱり。世界が在るもの。時間と空間と夢現をどんどん越えて戻って、天狗や羅刹や怪の物…獣が見え隠れする、ラーメンの美味しい世界の700年にどっぷり浸りました。…と書くと内容を誤解されそうで怖いんだけれど、すみません、要約とか出来ないよ、この本。

2012/05/27

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