午後の音楽
午後の音楽 / 感想・レビュー
Mijas
タイトルから、軽く読めるような癒し系小説を想像したが全く違った。聴こえてくるのは二人だけに共鳴し合う音楽。『ピアノレッスン』のテーマ曲のような、切なくて心につまされる。途中の甘やかな部分は読み飛ばしたいぐらいなのに、最後の言葉は最後らしくて涙が出てしまう。由布子は幼い頃から背負ってきた思いを封印してきたが、父と母と妹への心情を吐露する。鎧兜を身にまとい、幼い頃から心の奥底にしまってきた「何故」に戦いながら生きてきた。そんな「何故」をなぞってくれる人、自分の中に流れている音楽に共鳴する人との一時の交流の話。
2016/09/22
青豆
女が恋をした相手は妹の夫。男が恋に堕ちたのは妻の姉。許されない関係は人目を偲んで会うのではなくメールという手段で燃え上がる。顔が見えない、声も聞けないのに二人は誰にも話さなかったお互いの心の闇を打ち明け理解し合う。不倫と呼ぶには綺麗すぎる恋の結末は少し悲しかった
2014/01/26
ぱぁる
横書きの本は教科書を読んでいるようで好きになれないので、どうして手に取ったものやら。。。二人は大人でした。恋することが嬉しかった年頃の青さはありましたが、現を忘れず理性で離れ合えましたから。書くことは、己れを見定めたり確かめたりと深い作業だと思っています。メールのやり取りが二人の関係を深いものにしたのでしょう。始まりがメールだったことがポイントでした。儚く切ない二人でした。
2014/02/01
K K
何度も読んでます。由紀子と龍二郎の内面の孤独が、私のそれにあまりに似ていていたく共感しました。泣けた。往復書簡というよりメールでこれだけ【魅せる】のは、すごいの一言。さすが小池真理子。野分という例え、すごくよく分かる。まさに【高貴】としかいいようのない二人。低俗な小説が増える中、スタイルはメール、とモダンでありながら、二人の生き様は古き良き時代の日本人のよう。ピュアでありたいと思っていた最近、読後感が素晴らしかった。高貴でありたい。
2013/11/19
nonicchi
久々の小池真理子さん、せつなかった…。久々に泣かされました。私はこの主人公みたいな鋼の理性は持てないなあ、でも最後の一線を越えなかったからこそ、一生お互いを忘れず、思い続けてしまうんだろうなあ、と過去に振り切った、先の見えなかった恋の相手を思い出してしまいました。不倫の匂いが濃厚に漂いますが、大人の純愛小説だと思います。
2012/05/26
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