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光

作家
三浦しをん
出版社
集英社
発売日
2008-11-26
ISBN
9784087712728
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光 / 感想・レビュー

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文庫フリーク@灯れ松明の火

読み友さんより〔しをんさん、こんな引き出しも有るよ〕とご紹介。重い・えぐい。が、読むのを止められない。『光』だけに救いが有るはず、と思っていた。津波から生き残った信之・輔・美花。三人の子供は、人の形をした、人でないものになってしまった。有るのは虚無と云う無明の闇と、歪んだ自己意識。せめて幼い椿には光が有って欲しい。登場人物よりも読者が願うのがタイトルかも。津波直後の描写『銀色に跳ねる光がいくつもあると思ったら、それは月に照らされた魚の腹なのだった。その先は無だ。真っ暗な闇が広がるばかりだ』が暗示的。

2011/02/21

にいにい

津波によって、生活圏が消滅し、残った人々のその後が描かれる、その時に抱え込んだ秘密に縛られる。奪われた者が生きる術は、何もなかったように生きること。何も望まず生きること。秘密を守る為に、更なる秘密が必要となる。でも、本当に描かれいるのは、人間の内に潜む様々な暴力。覆い被さる更なる理不尽さ。 粘っこい話。背筋が寒くなる場面も多い。虐待、無関心、金、人の汚さ・脆さが描かれる。愛とは、人を理解するとは、納得した気になっている事を、「本当にそう?」と問。三浦しをんさんは、やっぱり 凄い作家だ。女性の適応力も見物。

2013/11/11

風眠

ひとつの島がまるごと波に飲み込まれ消える。大津波、残されたのは空虚。島も、生き残った信之・輔・美花の心も、真っ黒い波が全部がらんどうにした。何もかも無かったことにして、何食わぬ顔で生きていく。あの島で起こった津波も、家族や顔見知りの死も、暴力も殺人も全部、無かったことにしたい。そのために上書きされる罪、暴力、衝動、ずるい計算、偽って裏切って、空虚な暗闇から抜け出す光を探して。「暴力は、やってくるのではなく、帰ってくるもの」という言葉に突きつけられる圧倒的な絶望。抜けない棘みたいに、私の胸に刺さり続けてる。

2014/02/19

めろんラブ 

たすけて、たすけて、たすけて・・・声にならない叫び。理不尽な暴力によって奪われた尊厳。どうしたら逃れられる?この暗渠のような閉塞した闇の中、無力と虚無に支配された生から。救いがあるとしたら、夜の海に月が映し出す光の道の先に。それは死出の旅。さあ踏み出そう。胸に椿の花を抱いて・・・。ダークサイドのしをんさんって新鮮!辛い内容ではありましたが、さすがのしをん節で一気読み。色んな面をお持ちの作家さんなんですねぇ(感嘆)。ちなみに英題はThe Dark Light 。

2010/01/14

いつでも母さん

【再読】この作品が映画化されるとは思わなかった。震災前に読んで、エッセイのしをんさんとのギャップに唖然としたんだ。今はどんなしをんさんもOKだが(笑)映画はどんなふうにこの闇を映すのだろうかーこの物語のどこに『光』があるのだろう。再読してもやっぱり三浦しをんが描く生身の人間に圧倒される。南海子と椿の明日は・・信之の明日は・・一番怖いのは美しい花と書く美花であるのは間違いない。

2017/11/29

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