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廃墟建築士

廃墟建築士

廃墟建築士

作家
三崎亜記
出版社
集英社
発売日
2009-01-26
ISBN
9784087712735
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廃墟建築士 / 感想・レビュー

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ntahima

ちょっと不思議な短編4品。たったひとつの虚構を“真”として極限まで突き詰めれば、世界を二つに隔てるイデオロギーや、救いの世界が紡ぎ出されることは歴史が証明している。普通は人格を表わさない名詞(七階、廃虚、図書館、蔵)に“生”としての存在感を与え、それを起点に世界を再構築すれば本書となる。故に作中人物は誰もが物語世界に違和感を覚えないが、読み手の立場から見れば物理法則の異なる異次元宇宙を覗き見るが如し。表題作の“広大なライ麦畑の中に突如現れる、全長7キロの長大な連鎖廃虚”が強く印象に残った。ボルヘス的遠景。

2012/12/21

相田うえお

★★☆☆☆ 17030 常識枠を超えた短編集①日本のホテルは201.202.203.205と4飛ばしが多い。本作品は統計で事件が多いとされた7階撤去の話。統計はデータ取得やグラフ化で違って見える落とし穴がある!②廃墟建築の話。我が国も将来、超高層ビルが次々と老朽化を迎えるが撤去方法や費用は大丈夫なの?③図書館調教話。ここまで来ると頭から煙が〜。目の前を本が飛ぶー。④蔵守の話。当方、蔵といえばラーメンで有名な喜多方だ!話は変わるが使用済核燃料は地下300mに10万年保管らしいが本当に人類が管理出来るのか。

2017/04/09

七色一味

読破。装丁に惹かれ、タイトルに惹かれて、です。それぞれ、捉え何処のない不思議な感覚の、なんとも言えないファンタジーが4編収録されています。どれも基本設定が突飛で、その設定に読み手がついていけるかどうかがミソな感じ。読みやすさでは「七階闘争」。ファンタジーな空気を感じたいなら「図書館」がオススメかと思います。「こういうもの」「こういう世界」と捉えられれば、それぞれ素敵な物語ですね。「廃墟建築士」は、もう少し作り込んで中編程度までボリュームを増やせば、特異な世界観がもっと生きてくるような気がします。

2012/02/16

kishikan

三崎ワールドと呼ばれるらしい、日常と非日常、現実と非現実が交錯する世界を描いたこれまでの作品。今回も、7階闘争、廃墟建築士、図書館、蔵守の四篇からなる三崎らしい本がでた。特に今回は、無機質な建物そのものに、何らしかの意味や感情を埋め込み、それに関係する人や社会の関係を暴こうとしているように感じる。そうした意味ではシュールだし、純文学的?なのだが、僕にとってはもう少しエンタテイメント性が欲しいところでもある。

2009/03/01

ミナコ@灯れ松明の火

現実とは違う世界の話なのに、そこに登場する人たちの感情の動きはすごくリアルに感じられる。政治システムがちょっと違うだけのこの世界だって、もしかしたら今の現実と地続きなのかもしれない。そろそろ三崎ワールドもお腹いっぱいかな?と思いながら手に取ったけれど、どんどん引き込まれて一気に読んでしまった。主人公たちが皆職人気質なのも素敵で憧れてしまう。本が飛び交う図書館、見てみたい。

2011/03/03

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