魚神
魚神 / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
千早さんの『小説すばる新人賞』受賞作です。最近、続けて読んだ千早さん作品にはない、フレッシュさというか、荒削りな感じがします。雰囲気的には恒川さんの作品を強く彷彿させてくれるので、そのへんが好きな読者さんには楽しめるかと思います。中盤まではちょっとダラダラした感じがしなくもないですが、主人公「白亜」が大人になってからは、なかなかのスピードで展開します。美貌の姉弟のピュアな恋愛モノと捉えますが、弟「スケキヨ」より個人的には「蓮沼」が人間味溢れるキャラで好きですね〜。ひんやりとした哀しみにつつまれた作品です。
2014/11/02
文庫フリーク@灯れ松明の火
怜悧でありながら同じ魂を持つが故に、お互いに対してだけは脆い白亜とスケキヨ。どちらかの魂が砕け散ったなら、自らも砕け散らずにはいられない。私は私でありながらスケキヨであり、スケキヨもまた私にほかならない。同じ異端の魂を持つ蓮沼は砕け散った。言葉にならない想いの全てを込めて「スケキヨ」と呼ぶ。稲妻の激しさを秘めた想いの全てで「白亜」と呼ぶ。島に伝わる伝説の如く、傷つき彷徨の果てに辿り着いた「雨極」は場所に非ず、二つの魂が寄り添う刹那。初の千早茜さんは宮木あや子さん『花宵道中』木内昇さん『漂砂のうたう』→
2014/03/27
扉のこちら側
文庫で初読し文芸書で再読。いつの時代かどこの国かもわからない、吉原遊廓を思わせる島の美しい姉弟の物語。雷魚伝説との絡みが少し弱かった気がするが、独特の文体と耽美な雰囲気で読みごたえがある。表紙は青が背景の文庫より、黒のこちらの方が妖しい雰囲気が出ている。
2013/02/20
yoshida
千早茜さんの作品は初読です。捨子の姉弟である白亜とスケキヨ。遊廓の島で婆に拾われた二人。互いに双子のような二人であるが、別々に売られ道は別れる。遊女となった白亜は、スケキヨの影を感じる。生臭く幻想的で艶のある独自の世界観。スケキヨの持つ冷たい狂気と言おうか、独特の人物描写が光る。本作がデビュー作品という事もあり、やや荒削りな部分がある事も否めない。しかし、遊廓に舞台が移ってからの展開が読ませる。新笠と胆振野の因果。燃える街。再び近づく白亜とスケキヨにページを捲る手が止まらない。他の作品も読もうと思う。
2019/03/17
ミロリ
幻想的な世界。舞台の島に行ったなら、タイムスリップした気分になるのかなとワクワクして読んだ。もう世界観が大好きすぎる。かなり惹かれたので、千早さんの小説は積極的に読みたい。剃刀男・蓮沼がなかなか良いキャラ。白亜を初めて抱いたシーンと母との記憶が印象的。ラストは、とても悲しかった。
2014/10/10
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