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遥かなる水の音

遥かなる水の音

遥かなる水の音

作家
村山由佳
出版社
集英社
発売日
2009-11-26
ISBN
9784087713275
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遥かなる水の音 / 感想・レビュー

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優希

深い命の物語。遺骨を抱いてサハラへと訪れる4人の旅人の心の移り変わりが風景に溶け込んでいるように思いました。命が絶たれる場所だからこそ、人は最後の場にサハラを選ぶのではないでしょうか。逝った人の語りが輪郭のように浮かび上がり、生きていた頃を思わせる。イスラムの宗教や言葉、民族のことなどが書かれているのが旅行記のようでした。死という一つのテーマを通じて生きるとは何かを考えさせられます。

2016/08/12

なゆ

何となく異国情緒を感じたくて読んだら、こんなにも引き込まれてしまった。パリで亡くなった周の遺言で、遺骨をサハラ砂漠に撒くためにモロッコ~アルジェリアと周の足跡をたどるように旅する4人。姉として、友人として、そしてかけがえのないパートナーとして、周を想い旅をする4人それぞれの悲しみとやりきれなさ。それが、ムスリムの国に沁み込んだ祈りの世界に触れて、救われていくような。響きわたるアザーン。それぞれが何かに気付く旅にもなって、読後感は切なくも満たされるものに。イスラム教に対する印象もちょっと変わったかも。

2015/06/23

ゆみねこ

亡くなった周と言う若者の遺志を受け、遺灰をサハラ砂漠に撒くために旅をする故人の姉・親友カップル・ゲイのルームメイト、そしてモロッコ人のガイド。愛の形、生き方、宗教感。素敵な文章にグイグイ引き込まれて、見知らぬ異国を彼らと共に旅をするように一気に読了。

2020/12/03

nyanco

せめて死んだ後くらい、ひとりで静かに眠りたい。アマネの希望は『遺灰をサハラにまく』こと。全ての命から隔絶された砂漠のようなところで静かに眠りたい。緋沙子、ジャン、浩介と結衣にガイドのサイードを加えた5人の視点から、旅の物語が進行する。この構成が素晴らしい。ああ、やっぱり村上さんは巧い。愛する人を失った者と、愛する人から旅立つ者の物語。そして死は終わりではないことを最後のメッセージで伝えていただきました。いつかきっと還ってくる。風となって光となって水となって…。

2009/12/06

カピバラ

心の中に滔々と水が流れてくるような物語。ジャン=クロードのキャラが物語のスパイスとなって、印象深かった。浩介と結衣の関係が深まっていく様子がよかった。イスラームの雰囲気が物語に抒情性を加え、味わい深かった。「エロス」の紅茶を飲んでみたくなった。

2013/08/31

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