その暁のぬるさ
その暁のぬるさ / 感想・レビュー
そうたそ
★★★☆☆ 何とも感想の書きにくい作品……。失ってしまった「あの人」を考えることをやめられない女性の一人語りですすめられる表題作。現代的でありながらも、古風にも感じられる独特の文体が特徴的である。他の方も書かれているが、「枕草子」を思い出すような語り口であり、決して話に起伏のあるようなものではないのだが、不思議と心にスルリと入ってくる感じがある。併録の「酔いどれの四季」は表題作とは対照的なテンションで繰り広げられるBL作家とその編集者との連載小説の打ち合わせ模様。こちらのほうがとっつきやすい。
2016/06/20
coco夏ko10角
著者作品はいくつか読んで合わないかなぁ・と思い離れていたけど、メッタ斬りで興味を持って手に。 『その暁のぬるさ』すごくよかった、こういうことができるのが小説の面白さ。 『酔いどれ四季』暁とはまた違う方向に楽しかった。
2016/04/10
3939タスタク
この取っ付き難さが純文学って物なのか?と、思うほど掴みにくい『その暁のぬるさ』ですが、女性の厭な部分がクローズアップされた作品だと思いました。幼くとも女としての本能が根付いている辺り、男とは違う存在なのであろう。だから女性は奥が深く、解らない事だらけだ。 『酔いどれ四季』は、ボーイズ・ラブ作家を主人公に描いた作品ではあるが、作者の悦びや苦悩、そして担当編集者との奇妙な関係が、自分の中の下世話な部分を随分と刺激させる作品でした。
2013/02/02
たぬ
☆4 鹿島田氏13冊目。表題作の主人公である保育士の女性は仕事もプライベートも無理せず周囲から浮かない程度にマイペースにやっている風ではあるのだけど、どこか自分を偽っているような感じにも取れる。併録の「酔いどれ四季」はアラフォーBL作家と若く美男な編集者の語りがメイン。トータル15頁半にわたる編集者君の言説がぶっ飛びすぎててすごかった。どうも鹿島田氏はBLや百合だと生き生きしてくるみたい。
2020/07/30
...
枕草子や百人一首のような、平安〜鎌倉時代のセンスがそのまま憑依したような語り口に妙味があった。袖を濡らしてしまいそうだ、とか今の時代に誰がいうんだろう。ちょっと知的なギャグ。アイデア一発勝負。80ページもあると流石に退屈になってくるが、その退屈さも、今我々が古典文学を読んだ時に感じるクドさ、退屈さに通じるものがあり、そこもちょっと、感心したのだった。
2013/04/15
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