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つるかめ助産院

つるかめ助産院

つるかめ助産院

作家
小川糸
出版社
集英社
発売日
2010-12-03
ISBN
9784087713794
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つるかめ助産院 / 感想・レビュー

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ウッディ

夫の小野寺君が失踪し、失意の中訪れた南の島はマリアにとって楽園のような場所だった。自然の中で滋味溢れる食べ物に囲まれた生活。何よりも自分を必要としてくれる人がいる。助産院の手伝いをしながら、お腹の中のもう一つの命を育んでいく。生命の誕生を喜び、生きることの素晴らしさを分かり合える仲間との暮らし、彼らはみんな辛い経験をしたからこそ優しく、そんな相手の優しさを感じることで、辛い過去を肯定することができる。ラストの小野寺君登場は唐突な感じは残りましたが、前向きになれる物語で、面白かったです。

2019/04/16

藤枝梅安

設定も人物もストーリーも非常に巧みに設計されていて、「上手いなぁ。」と思いながら読み進めた。男には決してわからない女性だけの聖域が綴られる場面が多いが、そこにサミーや長老が上手く絡んでくる。食事の場面は「東京バンドワゴン」シリーズに相通ずるものがある。互いに深い詮索をせず、相手に寄り添う、それぞれが傷を抱いて、それを捨てずに生きている登場人物たち。結末はちょっと残念。まりあには島に残って先生やパクチー嬢達と苦楽を共にする年月を過ごしてほしい。近いうちに、まりあと赤ちゃんだけが島に戻ってくるような気がする。

2012/01/16

Nobu A

小川糸著書2冊目。10年刊行。前書「食堂かたつむり」は食べ物がテーマの中心にあり、例えば辺見庸著書「もの食う人びと」のような正に生きる為に食うようなルポでもなく食文化を掘り下げるでもなく興味半減だったが、本書は出産をテーマに南の島での人間模様が描かれ断然読み易かったし、物語展開に味がある。料理の巧みな描写があるのは相変わらず。ただ、塩梅としてこの程度が丁度良い。主人公がいきなり南の島に住み着くのも唐突で相変わらずだけど。まあこれが平たく言えば小川ワールドなんだろうな。もう一冊、代表作を読んで課題本へ。

2024/07/08

出産までの妊娠期間をどう過ごすかは、産後の心構えにとっても大事なことで。専門的立場から読むとなかなかこういう島での助産院は実現できないと思うけれど、この南の小さな島は人が人らしく生き、本当の幸せの意味に気づくことができる楽園だと思えた。登場人物のほとんどが何らかを背負い、失っている一方で、新たな生命を宿す妊婦たちとそこに携わる人々の姿にはまさに輪廻を感じる。そして胸を打つ言葉がたくさんあった。予想した通りであっても、ラストはやっぱり感涙。長年のわだかまりをも振り切れる命のエネルギーって素晴らしい!

2014/03/25

のり

「まりあ」は人生の岐路にたつ。夫の蒸発により、以前二人で行った南の島に訪れ、つるかめ助産院の人達と出会う。そんな中、自身の妊娠を知り心が揺れる。産むか?堕胎するか?産んでも良いのか?誰にも語った事のない出生の秘密を抱え生きて来た「まりあ」。先生を筆頭にパクチー嬢や長老、島の人々との生活で心が解れて出産を決意。支えてくれる者も色々な過去が…男なので出産の苦労は体験出来ないが、世の中の母親は皆偉大だ。妊婦さん=育む人、良い言葉です。

2017/10/28

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