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箱庭図書館 / 感想・レビュー
もりのくまお
中田永一が乙一の別PNと知り、読了した最初の本です。ボツ投稿小説をリメイクした小説だとは知らずに読んだので、読みながら乙一っぽくない印象を受けましたが、読み終わってみると、やばいくらい面白いじゃんという感想です。「影法師」「うまい棒」「鍵」「バス停」など各話の中に少しずつリンクする言葉が散りばめられている点が面白さを増すキーになっていると思います。1話目の「潮音の周りに男の存在がちらつく」や5話目に出てくる「潮音の指輪」など、読み直してみて、思わず「そういうことか!」と、にやっとしたくなるそんな一冊です。
2013/06/06
優愛
読者のボツ原稿をリメイクするという企画の末に生まれた作品。あぁそうか。やっぱり物語には命がある。その輝きを一層高められるのが作家さんなんだって改めて再確認できました。物語を紡ぐ町では色んな感情や出会いが渦巻いていて、これが乙一さんの思う箱庭なのだとしたら最後を「ホワイト・ステップ」で締めるのが何とも優しい。外出の際にはついつい足跡を探してしまいます。殺人事件も、不思議な出来事も起こるこの町ではきっと心が休めないとわかっていながらもいつか行ってみたい。平行世界はどこまでも優しく残酷に今日もまた輝いている。
2015/02/27
風眠
一般の方から物語のアイデアをもらって、乙一が小説に仕立てる、という企画の本。アイデアは人からもらっているので、乙一が書かなそうな物語もあってとても新鮮だった。6つの短篇で構成された本で、1話目の登場人物がそのほかの物語にちょっとずつ出てくるところが面白い。どの物語もいいなと思うけど、『ワンダーランド』と『ホワイトステップ』が特に好き。この企画、第2弾もぜひやってほしいな。
2012/09/23
有
これはいい!凄くいい!原案の短編を乙一さんが繋がりを持たせてリメイクされている。物語への愛情がいっぱい。伝えたいけど伝えられない言葉や、伝えたい物語をみんなそれぞれ持っていて、単語ひとつで印象は変わり、全く別の平行世界が広がる。同じ街、同じ人でも表現出来ないほど、数え切れないほど、物語は存在していて私がそれを知らないだけ。そう思ったら悔しくて悔しくて。本、読むぞって気にさせる。潮音ほど読めないし、たっちゃんみたく書けないし、鍵も持ってないけど、外を歩いてみると何かあったりして。読後、希望を手に入れた。
2012/01/18
再び読書
別名義の中田永一の作品かと思うと言いながら、実は乙一名義で初めての読書なので、違いが分からないのが真実。しかし、真っ白のカバーが作品の雰囲気とマッチする。後書きを読むと通常の執筆とは違うため、印象が違うのかも知れませんね。少しづつ乙一名義の作品も読んでいこうと思います。
2015/04/27
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