そこへ行くな
そこへ行くな / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
久しぶりの井上荒野さん。こちらも集英社さんの「ナツイチ」にて気になった作品です。数年前の一時期、井上さん作品にすっかり魅了され、ハマってしまい、’固め’読みしたくらい作者さんの作風にはある意味、信頼が持てます。絲山さんほどヒューマンかつコメディではありませんが、どこかセクシーで哀しく、儚げでありながらお涙頂戴ではないところが好きです。本作も内容、趣旨が様々な7編からなる短編集ですが、どの作品もどこかに相変わらず「生」と「性」が共存するかのような内容になっています。個人的には「病院」が一番ステキでした。
2015/07/23
ベイマックス
ん~ん、残念なことにつまらなかった。何もない小説って印象。
2022/01/03
taiko
場所がテーマとなった短編集。最初の話を読み終えた時に、え?これで終わり?と拍子抜けしましたが、全体的にそんな感じの話ばかりで、後半は、そのスタイルにも慣れ、逆に想像力が刺激され、楽しめました。嫌な気持ちになる話が多いけれど、ちょっと癖になる感じが、私は嫌いではないです。最後の「病院」だけは、きちんと結末があり、良い感じにまとまっていましたが、そこまでの過程が辛くて、息子を持つ身としては、読むのが辛かったです。
2016/06/05
青木 蓮友
ひとつ読むたびに「ぬえー」「ぐおー」と声が出た。苦しすぎ。お話でぐらいすっきりと、はっきりさせてくださいよというかんじだ。ここには、この現実そのものそっくり描かれていたと思う。良いも悪いも千変万化。答えなぞあるはずもなく、渾沌という名の生活が、生命が、一方向にリズミカルに進む。どのお話も本当に心底嫌だったけれど、唯一「病院」だけはほんの少しだけ救われたような気分になった。それにしても珍しい、あまり感じたことのない読後感。これをいったいどうしろと?世の中にはいろんな人がいるんだな、しみじみしてしまった。
2015/11/24
まーちゃん
想像をかき立てられるタイトルと読み友さんのレビューに惹かれて。ネガティブな気分を繋いだグルーミーな話ばかり。それなのにとても読みやすい。身に覚えのある、共感しなくもない、あまり歓迎したくない感情たち。私には、わざわざそこへ行く強さはない。帰ってこれない気がするから。でも彼女たちは危うげな気配を漂わせながらも、結局ちゃんと戻ってくるように思える。繊細でふてぶてしい、タフな女たち。憧れと嫌悪から、淵に手を掛けそうっと下を覗き込む。面白かったのか不快だったのか読み終わっても分からなかった。
2017/06/03
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