野蛮な読書
野蛮な読書 / 感想・レビュー
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
著者と親交があったという寺山修司氏の名言に反して「書を連れて街でも、どこでも行こう」というようなアクティブな書評エッセイ。机に座って本からのメッセージをただ受けとるのでなく、旅をして、飲み食べ、読み、人生を語ります。子供時代の記憶を「ポケットに入っていた飴玉」にたとえ、人生の手持ちのカードを惜しげもなく披露しながら、本の世界と対話しています。純文学から官能に転じた宇能鴻一郎と、永遠のダンディ池辺良と、女優以上に「良い妻であること」に拘った沢村貞子と……。博覧強記とは作者のことですね。解説は嵐山光三郎氏。
2015/01/21
momogaga
図書館本。読者の想定年齢は55歳以上ですね。ノスタルジックな読書の楽しみ方を教えてくれました。
2017/04/09
ito
エッセイストで料理研究家の平松さんの読書道エッセイ。取材の量と質に裏付けられた平松さんのエッセイは、物事の本質を見極めようとするパワーに満ちている。気になったフレーズが浮かんだら、すぐに本棚を探す。見つかるまで探し続ける。やっと見つかると、別の言葉が浮かんで気になる。そうして、次々に「本は本をつれてくる」。その結果、多面的で生き生きとしたエッセイが生まれるのだろう。数珠つなぎ的な本の連鎖がすごい。
2013/01/16
怜
ほんとに野蛮だった(笑)さすが食べることに好奇心いっぱいなだけに食べ物関係の読書については、夜中に読むと確実に何かを食べたくなるし。平松さんの文体が好きです。句読点の打ち方、表現のしかたが独特で。宇野鴻一郎は「わたし~しちゃったんです」の官能小説のひとだと思っていたら始まりは文芸作品だったなんて、ちょっと読んでみたくなりました。ここでも叶恭子の名前を見るとは、ホンマ因果やわぁ
2015/04/03
葵
本に関するエッセイって、思えば読んだことなかったかも?「本が本を連れてくる」というのは、目から鱗。読み方や順番に秩序なんてないと思ってたけど、実はあったのかな。それから、或る本のフレーズがふと思い出されるというのはアルアル。ゆるやかに忘れ去りながらも、確かに記憶そのものが自分の中に横たわっているという愉悦がある。印象的だったのは、断食合宿・沢村貞子・子ども時代の夏の話など。更新できない思い出は、多くの場合きれいに見えますよね。平松洋子さん初めて読んだけど、気さくながら奥深く味わいがあって、良かった!!
2021/05/26
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