サラの柔らかな香車
サラの柔らかな香車 / 感想・レビュー
hiro
小説すばる新人賞受賞作。プロ棋士養成機関の奨励会を退会した橋本さんが書いた、将棋の世界を描いた小説だということを新聞の書評で知り、読むことにした。日系ブラジル人のサラが、ジャケットのような金髪に青い目ということや、塔子が女流名人戦最終局の終盤で目が見えなくなることなど、ご都合主義的に思えるところはあったが、対局シーンなどは奨励会にいた橋本さんだからこそ書ける、大変面白い作品だった。サラはもちろん、塔子そして七海の‘才能’ある者がチャレンジしていく、希望が持てるラストが良かった。橋本さんの次回作が楽しみだ。
2012/04/15
ひめありす@灯れ松明の火
香車は槍とも称される、何処までもまっすぐにしか進めない駒。振り向かずまっすぐ、その道の途中に何を捨てようとも、どんな屍と汚泥が降り積もっていようとも、構わずに。と言う程に直向きな物語でもない。まっすぐにしか進めない、じゃじゃ馬の香車に彼女の手にかかるとまるで笑っているように、やわらかに動いているのを僕達は見た。それは車ではなく、花だった。香り立ち、くるくると速度を増して落ちていく花びら。という様に叙情感に溢れる物語でもない。天才と、そうでないもの。彼女の蒼い瞳には何が見えて、金色のおつむには何が読めるのか
2012/09/25
punyupunyu
三人の天才女性が登場する。が、彼女たちのことを深く扱うには頁数が少ない。本作は将棋の奥深さを描いているんだなぁ。
2015/11/02
takaC
図書館の新着図書コーナーで見て表紙借りしたのだけど、思いがけずめっけモノだった。去年の小説すばる新人賞作品なのね。対局内容の描写がどっちつかずで中途半端なところがやや残念かな。
2012/02/18
七色一味
読破。おそらく今月のイチオシはこれか、と思える作品です。文章的には硬い感じがします。この辺りは、作者自身の経歴によるところもあるのかとは思います。私自身は、駒を並べられる程度しか将棋はわからないので、時折作品のなかに出てくる将棋の手が、そもそもどういう意味を持っているのかを理解することは出来ません。対局を、テレビを通してみる記者やプロたちと、記者が書いた記事? とが交互に並ぶ構成が意外と不評のようですが、私的にはこの構成も結構好みでした。タイトルも剛柔併せ持った感じで好きです。オススメ。
2014/04/07
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