狭小邸宅
狭小邸宅 / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
集英社さんのナツイチフェアで見かけた「すばる文学賞」受賞作品です。戸建不動産業界の一部をえがいたなかなかシリアスな内容でした。とにかく売れない主人公は上司、同僚の厳しい扱いに日々身もココロも擦り減らせていきますが、ある女性に出会い、そしてある物件を販売できたコトを境に少しづつではありますが、風向き&風あたりが変化します。しかし、最初の頃に比べ、すっかり人が変わり、まるで別人のようになってしまった主人公に周囲は困惑せざるを得ません。読んでいて、最初から最後までずっと痛々しいキモチになってしまいました。
2015/07/09
人間万事塞翁が馬ZAWAZAWA
「お前、自分のこと特別だと思っているだろ」主人公にに浴びせられた上司の言葉!「自分には大きな可能性が残されていて、いつか自分は何者かになるとどこかで思っている。俺はお前のことが嫌いでも憎いわけでもない、事実を事実として言う。お前は特別でも何でもない、何かを成し遂げることはないし、何者にもならない」まさに確信をついた言葉である。私自身、何かあったときの逃げ場として用意した最後の砦をずばり言い当てられた感じだ。私自身、目の前の困難から逃げてきた。これからは困難に向かっていく勇気をくれた小説。お見事!!
2016/04/04
ぶち
読友さん(pafさん)のレビューを拝見して、私も不動産営業の裏側を覗いてみたくなり、手に取りました。 読み始めて唖然!これほどまでのブラックな職場があるのか...でも、私の拙い経験でも、営業という仕事が難しいことは分かります。この小説のように上司がいくら気合と根性を営業マンに叩き込んでも、気合と根性だけでは売れないのです。売れないという意味では、この本は不動産業に限らず営業の世界をかなり正確に描いています。そしてさらに、サラリーマンの社畜と称される現実とその当事者の心理をリアルに描いているように思います。
2019/08/03
おいしゃん
久々の一気読み。暴力暴言高ノルマ、超ブラックな不動産会社に勤める主人公が、ある契約獲得を境に、働き方の考え方が変わってゆくさまを描く。著者自身が不動産業に勤めているのか、と思うほどのリアルさと、心境の変化を追ううち、すっかり物語に引き込まれた。何かを得れば、何かを失う。大事なものは何だろう…と考えさせる作品でもあった。
2015/04/22
ゼロ
売れない不動産営業マンのお仕事小説。不動産業界の営業マンはブラックな環境で働くと聞くが、この小説を読むことにより、よりブラックな環境で働いていることが理解できてしまった。主人公は、不動産業界で働いているが、お金欲しさには働いていない。目的もなく、目標もなく、人生を過ごしている。途中、罵詈雑言を言われ、折れそうにもなるが働くことを辞めない。なぜ売れているか?の原因を理解しないまま、豊川課長の指導を受け、仕事をこなせるようになった。その代わり、日々のイライラや大切な人の時間をなくすことになる。働くって何なの?
2018/12/04
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