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カテリーナの旅支度 イタリア 二十の追想

カテリーナの旅支度 イタリア 二十の追想

カテリーナの旅支度 イタリア 二十の追想

作家
内田洋子
出版社
集英社
発売日
2013-10-04
ISBN
9784087715255
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カテリーナの旅支度 イタリア 二十の追想 / 感想・レビュー

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さと

イタリアに対して募る思いはいったい何なのか。 なにを素敵だと思っているのか・・・。 いまだ訪れたことのない国に憧れる理由が 少しわかったような気がする。 おそらく今 私がイタリアを訪れたなら 私は透明人間となって現地の人には何も見えないだろう。 何をして生きてきたのか 何が大切で 何を喜ぶのだ? そんなことが自分の中で腹落ちするにつれ わたし という人間が徐々に姿を現すのだろう。 異国で暮らすということはそんな甘いもんじゃない。 甘い自分を恥じると共に 靴の紐をキュッと締めなおしたくなる。

2016/11/23

どんぐり

冒頭のサルデーニャ島でフェラーリを走らせるマルコから最終章のカテリーナの旅まで、市井のイタリア人を描いた内田さんのエッセイ。その土地に暮らして、町が連れて来たものは、友人、知人たちの人生の断片20。なかでも好きな一篇は、道行く人に、教会の名前を告げて、道順を尋ね歩く「ヴェネツィアで失くした帽子」。道で出会った老女から、「ここに住めない人は、死ぬか出ていくか、なのですよ」と意味深なことを言われる。そんな内田さんが、いまはミラノから移住してヴェネツィアの対岸に住んでいる。

2018/12/16

わっぱっぱ

人びとの心情やバックグラウンドはとても身近で普遍的なものなのに、紛れもなくイタリアを感じる。自然や文化の手触りが感じられるせいもあるけれど、どうやら人生のとらえ方に日本的なものとの違いがあるように思った。ここに登場する人たちは、寂しい人も傷ついた人もみな毅然と頭を上げている。そこに通底するのは独立独歩の意志。そうか、自分を生きるってこういうことなんだな。そしてカンパリニズモからコスモポリタニズモへと変わりゆく今のイタリアが見える。

2018/02/05

kaoru

イタリアに長年住んでいる著者が紡ぐ短編集。娘との断絶に苦しむ叩き上げの文芸評論家、絵を描く老俳優、人種差別に泣くエクアドル出身の掃除婦などさまざまな人生の物語。若い盛りの男女を描く話もあるが、人生の盛りを過ぎた人々の哀愁についてのものが多い。地位や財産を築き上げた女性が職を辞したときに待っている寂しさ(『カテリーナの旅支度』)を読むと人の一生とは一筋縄でいかないと改めて思わされる。時に突き放したようなラストもあるが、著者も彼らの人生の立会人となって彼らの悲しみを静かに分かち合っているのが余韻を残す。

2020/08/28

fu

お気に入りの内田洋子さんの作品を読むのはこれで3冊目。内田さんは引っ越し好きらしく、住処があちこち変わる。時折浸水するヴェネツイアを断念し、船で暮らしてみたりもする。「我々の耳に乾杯」のマルコ、室内でもハイヒールのマルツィア、掃除に余念がないスペランツァ、キャリアウーマンのカテリーナ、有能すぎたルイジ。見た事もないイタリアで暮らす人たちの顔がありありと浮かぶようだ。

2014/09/20

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