左目に映る星
左目に映る星 / 感想・レビュー
おしゃべりメガネ
以前からよく名前(作品)を目にする作家さんで気になっていた奥田さん初読みです。本作もこちら読メのレビューを読んで読みたくなり、チャレンジとなりましたが思ってた以上に好きな作風の作家さんです。ちょっと暗めではあるものの、決して寂しさだけが残るワケじゃなく、なんかこう人それぞれの弱さみたいなトコを応援したくなる雰囲気にすっかり引き込まれてしまいました。他者に恋愛感情を持てなくなった26歳のOL「早季子」とアイドルのおっかけが生きがいの恋愛未経験オタク「宮内」の二人が手探りで距離間をはかる感じがステキでした。
2018/06/17
やも
主人公の早季子(26)。彼女は左右で視力と乱視の度合いが違い、見たくない物に遭遇した時は片目を閉じる癖がある。その経験から、世の中に確かな物はない、どんなに一緒にいても同じ景色を見るという事はない、という持論を携えて生きてきたが…。▶「愛という素敵な嘘で騙して欲しい 自分だって思ってた人格が また違う顔を見せるよ ねぇそれって君のせいかなあ」クライマックスには桜井さんになってNot Foundを歌ってしまったよね。これはラスト数ページがめっちゃくちゃいい!!…いい!!!大事なことなので2回言いました。★4
2023/01/27
ベイマックス
左右で視力に差がある主人公の早紀子。よく見える方をつぶると世界が歪んで見える。合コンで知り合う男たちも歪んでいる。そんな中で、アイドルオタクの男と知り合う。◎一気読み。よかったよかった。◎第37回すばる文学賞受賞作品。
2024/02/05
巨峰
とても良かった。一見もてない系の宮内君の理知的な思考がとても素直で良かったと思う。人は同じすぎても駄目。人の好きなことを好きになって、その人のことが好きだと気付くなんてなんて素敵なのでしょう。綿矢さんの「蹴りたい背中」や「勝手にふるえてろ」を思い出したのは、テーマがにているというより状況とかキャラがにているからかな。
2017/10/26
めしいらず
人と少し違っている不安。話に交ざろうとして声が震える。相手の目をちゃんと見られない。自分を語る周囲の人が微かに浮かべる失笑。みんな自信に満ちて見え、自分は縮こまって周囲から浮いてしまう。好きになれそうな人がいても、自分の中にその人から好かれるだけの要素が見つからないので、例え何度か会って話しても思うように距離を縮められない。じれったい宮内の言動が理解できるから、早季子の「(少しの違いで)私を、別の星の人みたいに言わないで」って叫びに心底揺さぶられた。各々違うからこそ素敵だって互いに思えたなら、いいな。
2014/07/21
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