チャンミーグヮー
チャンミーグヮー / 感想・レビュー
matsu04
今野敏の空手モノは久しぶりだったが実に面白かった。朝徳が掛け試しに挑むシーンは迫真に満ち、型の稽古に打ち込む姿も眼前に浮かび上がるようであった。そして彼が〝すべての要素、あらゆる答えは型の中にある〟と気づき、さらには技の修練によって自らの徳を高めることこそが武道の目的だと悟るところも良い。沖縄空手について私は以前、中達也の「グレート・ジャーニー・オブ・カラテ」を観て感銘を受けたが、今回その思いを新たにしたのだった。(図書館本)
2019/02/19
そうたそ
★★☆☆☆ 琉球空手の一人者である喜屋武朝徳をモデルに綴られる空手小説。武術の類にはあまり興味がなく、読む前からあまり興味のわかない印象だったのだが、結果としてやはり個人的には興味をひかれない内容だった。ただ今野さん自身が空手を教えているとあって、武芸に対する並々ならぬ著者の思いが伝わってくる作品であった。喜屋武朝徳や琉球空手についてだけでなく、琉球そのものに対する歴史にも触れることのできる重厚な一冊ではないかと思う。武芸を嗜む人にはたまらない内容だろう。個人的にはいつもの警察物の方が好きだけれど。
2015/01/03
reo
喜屋武朝徳は、幼少の頃にまず父より兄朝弼と共に相撲の手ほどきを受けた。そして15歳の時に父から正式に唐手を師事した。目が小さかったことから「喜屋武(チャン)・目(ミー)小(グヮー)」と呼ばれた。そのチャンミーグヮーたち沖縄空手家が残したナイファン、セーサン、ウーセーシー、チントウ、ワンシユウ、バッサイなどの型が、2020東京五輪の正式種目となった。空手家の念願が叶ったことは、嬉しい限りである。空手の型が実戦に強いのか?との疑問があるが、YouTubeで前出の型を観てみると文句なしに”強い!”と分かる。
2018/04/04
Rie
現在の空手のはじまり。元は琉球王国時代の手(ティー)と呼ばれたもの。実在した人物の歴史を基にして描かれた作品。琉球王国から沖縄県へと廃藩置県により変わっていく節目のなかで手を極める為に一生を費やした朝徳の物語でもある。時代が大きく変動するなかで家柄により琉球では除け者にされたり本土ヤマトにいっても下に見られたりした少年時代。ひ弱な少年が手をやることにより鍛えられていく様子は力強い。空手の成り立ちというか広まる様子は知らなかったから尚更興味深い。
2015/03/11
ヨコツ
小説というよりも、割と純粋に伝説的唐手家喜屋武朝徳の伝記。息詰まる格闘シーンがあるわけでもなく、胸打ち震える感動シーンがあるわけでもなく、淡々と喜屋武朝徳の生涯を追ってゆくという内容に終始している。僕の学んでいた空手の流派の源流にあたる本部朝基が出てきたり、ナイハンチンやバッサイ等の親しんだ空手用語が出てきたりと個人的には楽しかったけれど、型や空手(本作内では手と呼ぶ)の解説も無く、空手経験者以外でも楽しめるかどうかは甚だ疑問である。
2014/09/23
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