手のひらの幻獣
手のひらの幻獣 / 感想・レビュー
紫 綺
まずは元となった短編集「バスジャック」の中の動物園を読んでから、取りかかる。面白い!!面白いんだけど、三崎さんの文章表現力(ディテールにもこだわってる)に私の脳内具現力がついていけない。異能力者である表出者の孤独を、寂しさを巧く描けているとは思う。最後はのめり込め、平穏な気持ちで読了出来た。
2015/06/15
kishikan
皆さんのレビューを読んで記憶が蘇りました。三崎さんらしい異次元の世界に迷い込んだ感覚の中で、この雰囲気初めてじゃないって思っていたら、「バスジャック」の動物園、「廃墟建築士」の図書館とリンクしてたんですね。ストーリは忘れちゃっていたけど。それにしても、三崎さんの超能力の描き方は、字ずらからは直観的にイメージできず、今回も「表出」「受容突起」「内側」その他、の概念把握に苦労しました。でも、あとはいつもの三崎さん。友情とか愛情を絡ませつつ、権力の恐ろしさやそれに立ち向かう勇気ある行動をテーマにした良作でした。
2015/09/10
nyanco
表出者の物語、華やかでスリリングに異能を使うのではなく、ひっそりと動物園で動物の代わりを務める。ひっそりと使われる力に時の流れを感じ、彼女があれからどう生きてきたのかを考えさせられる。ありえないはずなのに、すぐとなりにあるのでは無いかと思わせる三崎ワールドは今回も健在。表出の過程を「イメージ化」「融合」「拡散」「固定」と書かれた説明の部分、講義を聞いているような不思議な感覚、この緻密さがあるからこそ読者は三崎ワールドに引き込まれるのだろう。若い後輩との関わり方の描き方もとても良かった。続→
2015/05/02
Mumiu
日野原さん、また会えて嬉しいです。彼女の一途さ、彼の嫉妬かもしれない思い。映像ではなく、想像しながら文字を追う愉しみ。ファンタジーでありながら、真実をついている。巧いな。タダシガ記を読んだ後のせいか、より強くメッセージとして響いている。あの姉弟の親のようにありたいです。
2015/09/26
けい
「廃墟建築士」や「バスジャック」の中で描かれる表出の能力者達を中心に綴られる物語。あまり深くは設定されていなかった部分をグッと深めて、より大きく描いていきます。非現実的な設定を詳細かつ歴史的に作りこんで、あたかも現実の世界の様に見せつける三崎ワールド。空想の世界に入りこんで楽しみながらも、現実との対比で「ゾッ」する。油断ならない世界観を楽しめる作品でした。
2015/10/12
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