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持たざる者

持たざる者

持たざる者

作家
金原ひとみ
出版社
集英社
発売日
2015-04-24
ISBN
9784087716061
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持たざる者 / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

これまでに読んだ金原ひとみの小説とは文体も主題も違う。かといって実験的な小説というわけでもない。修人、千鶴、エリ、朱里の4人の語りで構成され、彼ら同士の関係性は連鎖的な繋がりでしかなく、薄くも脆弱でさえある。しいて、彼らの共通項を求めるとすれば「喪失」かとも思うが、エリはその位相を異にするようである。また、そのエリを含めて修人、千鶴の3人は刹那的に生きているようにも見える。4人の中で最も内省的なのは朱里であるが、彼女もまた自分の境遇を自ら変えていく能力も気力も持ってはいない。結局のところ、最後まで⇒

2022/03/25

さてさて

四つの章から構成されて、一編目と二編目は場面が連続するこの作品。それぞれの主人公達は、それまで順風満帆だった人生の前に突然に現れた障害に戸惑い、苦しみ、そしてその対応に奔走していきました。「持たざる者」というこの作品。それは、それまで確かに持っていた安心感が突如として崩れ去った瞬間に人が取る、それぞれの行動を鮮やかに写し取ったものだったのだと思います。ドロドロした人と人との感情のぶつかり合い、そして光射す結末へと至る物語は、読み応えと読了感の良さが両立した何とも言えない余韻を残すとても印象深い作品でした。

2022/03/14

おしゃべりメガネ

【東日本大震災・あの日を忘れない】う〜ん、やっぱりいくらボリューム(頁)は少なめでも金原さんは金原さんでしたね〜。とにかく'ヘヴィ'です。'重い'のではなく、やっぱり'ヘヴィ'なんです。震災後、それぞれの諸事情により、生活スタイルが異なる四人の物語を描いていますが、とにかく皆、個性的です。なかなか共感できるものが少なく、とにかく読み進めていきましたが、キモチはモヤモヤと。マシンガンのようにひたすら文字が綴られる金原さんワールドに、とにかく苦戦しました。金原さん作品はやっぱり体力&メンタル勝負になりますね。

2018/03/18

風眠

人はどうして持っていないものばかり求めてしまうのだろう。私もそう。失ったもの、持っていないものにばかり気を取られて、自分が持っているものに気付けずにいる。平穏な日々がずっと続くなんて、どうして何の疑問もなく信じられるのか。そしてある日突然やってくる「思ってもいない」現実に愕然とする。そう、未来のことなんて誰にも分からない。だからこそ今を大切に生きるんだって、頭では分かってる。ない物ねだり、混乱、葛藤、そういう人間の心は震災とは関係なくあるものだ。無理に震災を絡めなくてもよかったのでは?と、少し残念な印象。

2015/05/29

starbro

金原ひとみは「蛇にピアス」で衝撃を受け、「マザーズ」で良い方向に進化していると思ったのですが、東日本大震災の影響が大き過ぎたのでしょうか?震災+私小説+海外でこねくり回した気がします。残念ながら今年のワーストコース行きです。

2015/06/07

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