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思い出は満たされないまま

思い出は満たされないまま

思い出は満たされないまま

作家
乾緑郎
出版社
集英社
発売日
2015-04-03
ISBN
9784087716078
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思い出は満たされないまま / 感想・レビュー

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みっちゃん

今年のマイベスト10に入るだろうな、と思っている【機巧のイヴ】それとは全く違う風情ながら、私的にどストライクの連作短編集。高齢化の進んだマンモス団地と、その側に鎮座する鎮守の森を舞台に、時空を越えて交錯し、互いに作用し合う住人達。切ないまでに、やり直したいと願う気持ちが不思議の世界への入口を開き、小さな奇跡を起こしてゆく。「この世界は、物語に満ちて輝いている」この胸に温かいものを満たしてくれる1冊だった。

2015/09/12

だんじろー

相変わらず読みやすくて安心できる文章。短編集ではあるが、完全にそれぞれが独立した形式ではなく、登場人物がゆる~くつながっているのがまた良い。伏線の散りばめ方も実に巧みで確実。何とも言えない懐かしさと物悲しさがこみ上げてくる良作である。

2015/10/03

aquamarine

この作家さんの作品は私には合うものと合わないものがあるんですが、これはとても好みでした。ひとつの団地とその近くの神隠しに遭うという立ち入り禁止の森。団地に住むいくつかの家族と人々の絆が過去未来錯綜して広がっていきます。切なくて泣きそうになるものもありましたが、それぞれがきっかけを経て変わっていきます。連作短編の形で登場人物や関係者が少しずつ繋がり、それぞれが最後に見せてくれたものには驚きました。ラスト数ページは好みが分かれるかもしれませんが私は綺麗な読後感を運んでくれてとても良かったと思います。

2015/06/09

いたろう

多摩地区のはずれにあるマンモス団地を舞台にした連作短編集。今では高齢化が進む団地の、過去から現在、そして未来、団地の内外に流れる「時間」。高度成長期に新時代の象徴であった団地は、現在では郷愁を誘う場所となり、団地に住んだことがない者にも子供の頃の家族の風景の懐かしさを感じさせる。各短編で、登場人物が微妙に繋がっているが、それぞれ異なる味わいがあり、著者らしいファンタジーの味付けもあって、飽きさせない。個人的には、ファンタジーの要素のない、独居老人の過去にまつわる話、「ノートリアス・オールドマン」が好み。

2015/07/25

ナミのママ

団地をテーマに、時空を超えた7つの連作。…団地は昭和育ちの私には切なさを伴う不思議な魅力があります。ここに出てくる話は、現在のすたれつつある団地と、全盛だった時代がとが入り混じって、なんともいえな思いに心が揺れました。そして少年が主人公の作品が好きなので、何作かはツボでした。読みやすかったです。

2015/05/01

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