イタリアのしっぽ
イタリアのしっぽ / 感想・レビュー
ヴェネツィア
本書も、あるいはエッセイとして書かれたのかも知れないが、味わいはもう全く小説のそれである。巻頭の1篇からして既にそうなのだが、顕著に小説的な作品として、例えば「釣り上げて、知る」はどうだろう。ここに並べられたのは、極上の掌編小説15篇。しかも今回は、それらのいずれでも動物(一部に植物)がキー・コードになっていること。犬や猫はもちろん、蛇やタコまで。ひときわ光彩を放つのは、ヴェネツィアの幻想空間を描いた「月の光」。そして、小説空間の深みへと果てしなく降りてゆく「開いた穴」。思わずため息を漏らす妙なる作品集。
2016/11/21
どんぐり
犬のしっぽ、猫のしっぽ、馬のしっぽ、キツネのしっぽ。人間にはないしっぽを持った動物が、人と人とをつなぐイタリアでの人間模様を綴ったエッセイ15篇。これも面白い内田さん。
2019/01/29
ぶんこ
読み終わって、他の方々の感想を拝見するまで、この本が動物と人間をテーマにしていたとは気付きませんでした。 猫が苦手だった著者が、転んで寝込んだ間、勝手に入り込んだり出たりしていた3匹の猫達が寄り添ってくれていた・・このエピソードに目がウルウル。 猫を好きになってくれたのなら嬉しいけど、犬を飼いはじめたようです。 ミラノの気候が過酷とは驚きました。冬が半年続くとは! 山の上に住むマリーチェが、馬で山道を行き来するなんて、想像するだけでため息。 色々なイタリアの生活が垣間見られる素敵なエッセイでした。
2015/09/28
Rosemary*
小説としても楽しめるエッセイ集。著者が暮らすイタリア各地での暮らしぶりや出会った人たちとの繋がり、そしてそこにいる動物たち。今まで抱いていたイメージとは違った街並みが見えてたのしいひと時だった。
2018/02/11
イオちゃん
長くイタリアで生活している内田さん。エッセイの一つ一つが短編映画を観ているような味わいがあるのは、今までの本と同じだけど、今回はテーマが動物。犬を飼うことから始まって、猫、猿、馬、キツネ…となかなか面白かった。中でも好きだったのは、「僕が伝えてあげる」の馬。あるところを爆走する彼の姿を想像するだけで、楽しい。
2018/09/02
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