我が家のヒミツ
我が家のヒミツ / 感想・レビュー
ヴェネツィア
6つの短篇を収録。いずれも初出は「小説すばる」。掲載誌の性格からも、心持ち文芸寄りのエンターテインメント小説といったところか。主人公もシチュエーションも様々だが、「正雄の秋」と「手紙に乗せて」はサラリーマンの世界を描く。つくづく上手いなあと思う。この作家はサラリーマンの経験はなさそうなのに(実は私もないのだが)、会社の持つ独特の「感じ」といったものを実によく伝えているように思う。畢竟は想像力と筆力に帰するのだろう。「虫歯とピアニスト」の女性(敦美)の心の弾みの表現もいい。
2023/02/06
starbro
奥田英朗は結構読んでいますが、平成の家族小説シリーズは初読です。少なからず問題・ヒミツを抱える家族ですが、いずれも温かな良いファミリー・夫婦のオンパレードです。オススメは「妻と選挙」です。思わず涙ぐみました(泣)時間をみつけて他のシリーズも読んでみたいと思います。
2015/11/07
Yunemo
3作目の家族小説、何気ない日常の家族生活であり、ありふれた生活の一部のはずなのに、胸にコツンと響くんですよ。夫婦間で、親と子供たちの間で、何らかのきっかけで、思いやりの会話があり対話があるから、なんでしょうか。ただ妊婦の章はいけません、この話題の中にちょっとそぐわない感。手紙に乗せてで「若いって、他人事が多い・・・」という表現、裏返せば「自分ごと」となるまでの経験値、ここでの命題はそうかも、でもちょっと違った解釈もできるのかな。ここのところ、「自分ごと化」とは、なんてことをいろんな状況で考えさせられます。
2015/09/23
yoshida
シリーズ三作目。家族にまつわる短編六編。安定した面白さがあります。印象に残ったのは「正雄の秋」、「アンナの十二月」、「手紙に乗せて」。「正雄の秋」での出世争いに敗れた正雄への、妻の心配りが心に残る。「アンナの十二月」での実の父に傾倒しながらも、友人達の後押しもあり、しっかりと育ての父の許に戻るアンナの姿が良かった。「手紙に乗せて」は喪失を経験した者同士だからこそ、分かりあえる事が描かれている。共通して言えるのは、どの家族もお互いを思いやれていること。離婚した私は、こんな家庭もあるんだなと思ったりしました。
2017/02/18
kyon
読み易いし、面白い!かと言って現実離れしていない。その辺にありそうな話しなので、感情移入もしやすいし〜、なんでこんな風に自然に書けるのか不思議。ジーンとくるお話しもあり、一気に読んでしまいました。
2016/02/20
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