地面師たち
地面師たち / 感想・レビュー
旅するランナー
醜く歪んだ世の中で、したたかなものが笑い、弱きものが泣く。土地売買の詐欺チーム、地面師たちのドぎつく見事な騙しのテクニックに、ダメとは分かりつつ、ハラハラドキドキワクワクする怪作。そして、彼ら騙す側だけでなく、彼らに騙される側、彼らを追う刑事、それぞれの人間性・人生が描かれ、物語に深みをもたらしてます。特に、身の毛もよだつ冷静な悪、リーダー役ハリソン山中は犯罪小説史に残る野郎です。マジです。
2020/05/30
fwhd8325
面白い小説でした。積水ハウスの事件で、地面師という名称があることを初めて知ったのですが、あれだけの金を動かすからか、頭がいいからなのかわかりませんが、緻密に計算された世界だと思いました。欲の塊同士だから、都合のいいようにしか考えないところに、詐欺の妙味があるんだと思います。
2020/10/24
utinopoti27
現代社会の闇に切り込む作品を発表し続けている新庄氏の最新作は、実際に起きた「積水ハウス事件」にヒントを得た「地面師」がテーマだ。熟練のプロをも騙す巨額詐欺事件のメカニズムはもとより、詐欺グループと、事件を追う老刑事の人間模様をじっくり掘り下げる、小説ならではの視点が実に興味深い。相手の冷静な判断力を阻害する狡猾な仕掛け、手に汗握るディール・・。緻密に計算されたプロットと、綿密な取材の積み重ねこそが、こうしたクライムノベルの緊張感と迫真性を生み出すことを、あらためて思い知らされる、一気読み必至の力作。
2020/03/17
hiace9000
Netflix配信開始の25日迄に読了を!と一気読み。映像化納得の夢中にさせてくれるクライムサスペンス。映像キャストもチラリと見知ったので、脳内再生はそのキャスティングにて。それがまさにどハマりで、よくぞそのキャスティングされました!と喝采を送りたいほど。もとあれ、とことん真っ黒な極悪ハリソン山中のサイコっぷりと、詐欺被害者でありながら、やがて詐欺加害者へと闇堕ちしていく拓海の弱さに人間誰もが何処かにもつかも底知れぬ悪業の闇とその深さを観る。いくら時代は変われども、騙しとは人間の本源的な性なのだろうか。
2024/07/23
buchipanda3
不動産売買詐欺を行う地面師を描いた犯罪小説。数年前に大手企業が巨額の被害に遭った事件が話題となったが、それほどのお金が動くのになぜ騙されるのかと思っていた。今作はその事件を意識したもので、彼らの手口がリアルに語られていた。ビジネス交渉は人間ごとなので、ライブ感というか瞬時の流れみたいなものがある。後になって冷静になって考えれば、というのは通用しない。そのせめぎ合いがいい感じで表現されていたと思う。展開は割とオーソドックスだったが、ハリソンの不気味さと鍵ガチャの場面の普通の人間臭い一面が印象的だった。
2019/12/14
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