犬のかたちをしているもの
「犬のかたちをしているもの」のおすすめレビュー
彼氏が他の女性を妊娠させて…相手女性の口から出た驚きの“頼み”とは――
『犬のかたちをしているもの』(高瀬隼子/集英社) どうしてセックスは小説や映画の世界だと美しくて愛の象徴みたいなのに、実生活の中だとあんなにも陳腐で愛が見えないんだろう。これまで恋愛をする中で、そんな想いを何度も感じてきた。だから、『犬のかたちをしているもの』(高瀬隼子/集英社)の一節に深く共感したのだ。 “セックスをしてると、大切にされてないっていう気持ちがどうしてもわいてきてしまって。もちろん我慢はできるんだけど、我慢してやってると、相手のことが好きじゃなくなっちゃうんだよね” 本作は集英社が主催する、第43回すばる文学賞の受賞作品。高瀬さんが生み出した主人公・間橋薫の胸の内は「女」として生き続けることを求められている、世の女性の心に刺さる。 見知らぬ女性から「子どもをもらってほしい」と言われて―― 薫はもともとセックスが好きではなかったが、卵巣の病気を患ってから、その想いが余計に強くなった。恋人の田中郁也には付き合い始めの頃に「そのうちセックスしなくなる」と宣言。交際4カ月以降、セックスなしの恋人関係を3年続けていた。 そんなある日、郁也からコーヒーショ…
2020/4/4
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犬のかたちをしているもの / 感想・レビュー
こーた
半分は自分の子でありながら、何もできない無力感。主人公の抱く葛藤は、パートナーに子ができたときに男性の抱く情感と近いのではないか。近いが、一致することはありえない。女性の日々経験している心身の変化を、男性のぼくは想像することができるし、読んで理解することもできる。でも自分ごととして実感することは決してない。それがひどくもどかしい。日ごろから女性の生きやすい社会はぼくも生きやすい社会だと信じてささやかにがむばっているけれど、所詮はその程度である。結末はやや凡庸でざんねんではあったが、⇒
2020/01/26
美紀ちゃん
いきなりびっくりする。 どういうこと? これはお別れなの? 私なら怒り狂い、浮気相手の子供など引き取ることはできない。かもしれない。 浮気相手の女性は水名城ゆきさん。 変わってる。お腹を痛めて産んだ子供をどうして手放す? 色々疑問だらけ。悲しすぎる。 毎日泣くのもわかる。 泥沼だと思う。辛すぎる。 考え出すとどんどん曇った気持ちになる。 悩ましい。 最後まで非常に悩ましい。 が、面白くて一気読み。
2021/03/28
machi☺︎︎゛
卵巣の手術をした経験があり妊娠も難しいかもしれない薫。付き合ってしばらくするとセックスが苦痛になる薫。そんな薫でも大好きな彼氏。だけどある日そんな彼氏との間に出来た子供を産みたいというみなしろさんが現れて産んだ子供はあげると言われる。普通に考えたら有り得ないしみなしろさんの何故か上から目線が腹立った。変わった話だなと思いながらも先が気になり一気読み。「子どもが欲しいのと、子どもがいる人生が欲しいのは、同じ事だって思う?」って言葉が印象に残った。
2021/04/06
おしゃべりメガネ
「すばる文学賞」受賞作品で初読み作家さんとなります。ボリュームは薄めながら、内容はかなりガツンとくる作品で、なかなかシリアスでした。卵巣の手術をしてセックスに抵抗を感じる「薫」は、ある日彼の「郁也」に呼ばれ、そこにいたのは『私が子を生むから、貰い、育ててほしい』と申し出する女性が。なかなかシリアスな話で、登場人物に感情移入が難しいながらも話の展開が気になりイッキに読了でした。セックスレスの二人、子供が欲しいかいなか、育てていけるのかどうかなど、とにかく女性目線からみればなかなかハードな展開かなと感じます。
2020/12/19
Take@磨穿鉄靴
ワンコもワンコの「カタチ」をしているものも出てこない。主人公にもその彼にもミナシロさんにも共感出来なかった。命は有限で時間は命そのものだと思うけどその相手でいいのかな?(各自)。多様性の承認て耳触りはいいけどこのような虚しさが付きまとい続けるのかなと思う。自分の身体を含め本人自身が自分の人生を受け止められないうちは何をしても満たされないのではないか。受け入れることが出来ればどんなルートでも頑張れる。そうでないうちは身体の事や何やらで潜在的に言い訳を探し続けるループだろうね。問題は「身体」ではない★★☆☆☆
2022/12/16
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