逆ソクラテス
逆ソクラテス / 感想・レビュー
ヴェネツィア
表題作を含めて5つの短篇を収録。共通項は「少年時代」。いずれも小学生(5,6年生)の男の子たちを主人公に描かれる。物語の語り手も、その仲間たちのうちの一人だ。女の子も登場しなくはないが、あくまでも添えもの的な存在。伊坂幸太郎の世代には小学生は基本的に男の世界なのである。参考文献にもあるが「思い込み」の打破がサブテーマである。それに拘泥しすぎて、「非オプティマス」のようにいささか説経臭くなってしまったものもあるが、概ねは郷愁を誘われ、なんだか切ないような想いを誘われる。かつて男の子だった人たちに送るエール。
2021/10/28
starbro
新型コロナウィルス対策購入シリーズ第24弾、伊坂 幸太郎は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。小学生が主人公の連作短編集、オススメは、『スロウではない』です。それにしても、ドン・コルレオーネがこんなに活躍するとは(笑) https://www.youtube.com/watch?v=RNfIq2vvM4k https://www.shueisha.co.jp/gyakusocrates/
2020/05/01
鉄之助
伊坂幸太郎に外れなし! スポーツにかかわる小学生を主人公にした、良くできた短編集だった。深い教育論が根っこにはあるが、説教臭くなく知らない間に物語に引きずり込まれてしまった。「一番の敵は先入観」。この子は駄目な子だ、と先入観を持っている小学校の担任を遣り込める1話目から、映像が目に浮かぶ傑作だった。「アンスポーツマンライク」にも、涙腺緩みっぱなし…、笑わせ、泣かせ、心震わす。お見事。
2021/01/12
とも
今まで読んできた伊坂さんの作品の中で、とても好きだ。 何度も鳥肌がたって「う〜〜っ」と声がでた。 磯憲のような先生がたくさんいい影響を与えてくれると、世の中が少しづつ良くなっていくのかな。 子供達にも読んでもらいたい。 また読み返そう。
2021/01/21
bunmei
小学校生活でよくみられる、アルアルの場面を切り取った短編集。クラスで目立たない子供を主人公に、その子供とは究極の立場にある先生や友達の言動に対する本音のつぶやきが、子供らしい視点で描かれています。教師の何気ない一言や同級生からのいじめを子供視線で鋭く描き、学校現場への警鐘を鳴らしています。そこにユーモアを交えて、子供らしい稚拙なオチで締めくくることで、その深刻さが前面に現れれず、サクサク読める効果をもたらしています。磯憲先生の、ギャンブルとチャレンジの違いを語った言葉は、良い言葉として印象に残りました。
2020/05/08
感想・レビューをもっと見る