きのうのオレンジ
きのうのオレンジ / 感想・レビュー
青乃108号
良い本だった。自分も、自分の人生は良い人生だった、と思えた。そして、あとひと踏ん張り、頑張ろうとも思えた。もう少しもう少し
2022/06/30
ウッディ
こんなにも悲しい物語なのに、温かく前向きになれるのはどうしてだろう?33歳で胃がん宣告を受けた遼賀。真面目で、自分の事よりも他人の事を思いやれる彼に対する母、弟の恭平、泉や高那たちの想いが優しく、彼らの祈るような気持ちを想像すると辛い。弟とともに雪山で遭難し、死を覚悟した少年時代から時を経て、再び死と向き合う遼賀の闘病生活は辛いものだったが、病気になったからこそ、温かい人達とかけがえのない時間を過ごせたのかもしれない。学園祭準備、母への手紙などエピソードも素敵で、涙なしには読めず、大切な一冊になりました。
2021/04/14
ショースケ
最初から最後まで文字に釘付けになった。私にも息子がいます.私はバツイチで、私の両親に助けられながら、親ひとり子ひとりで頑張ってきました。それだけに親子の絆は深いと思います。そんな息子が遼賀のようになったら!気も狂わんばかり泣き叫び、変わってやりたいと思うでしょう。何も悪いことはしていない懸命に生きていた遼賀。それなのに何故、悲しい悔しい!生まれてきて良かったよと母親と抱き合うところは涙、涙でした。でも本当の兄弟ではないけれど恭平がいて良かった。泉が、高那がいて良かった。それから祖母も。→
2021/03/31
Makoto Yamamoto
笹本遼賀はイタリアンレストランの店長だが、体調の異常に気付き勧められて病院に。 出会った看護師は郷里の高校の同級生矢田。 各章に登場人物が主人公になった話があり、第五章で再び遼賀で、ここでは涙が止まらない。 病に倒れ早逝する人の思い、周りの人達の思いもしっかり綴られ、悲しい中でもほのぼのとした気持ちになれた。 笹本ファミリーと矢田、ともに気持ちのいい人達だった。 読み終わって「きのうのオレンジ」は書名だと改めて思った。
2021/04/11
蒼
“遼賀、ごくろうさん” ラスト遼賀が聞いた父の一言に堪えきれずに嗚咽が溢れた。遼賀も恭平もこの父がいたからこその “兄弟” だったのだ。16歳の恭平がこのままの家族でいたいと同い年の “兄” に告げた時、遼賀は弟の思いを大事に胸に刻んだのだろう。弟に、母に、亡き父に、同級生の看護師泉に、かつての同僚高那に支えられ、感謝して生き抜いた遼賀に、安らかにと祈らずには居られない読後だった。
2021/02/17
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