対になる人
対になる人 / 感想・レビュー
starbro
花村 萬月は、ほとんどの作品を読んでいる作家です。本書は、サイコスリラーと言うよりも、半分私小説的解離性同一性障害性交譚でした。本当に実在の人物に取材して書いたのでしょうか? https://books.shueisha.co.jp/items/contents.html?isbn=978-4-08-771748-8 【読メエロ部】
2021/07/02
いつでも母さん
私の中に私が自覚する私以外の『誰か』がいて対話する事はあるよね。それとは違う知らない世界の話。満身創痍の作者が放つサイコスリラー。勿論、フィクションと受け止めつつそれでもしんどい。そしてくどい。正直かなり斜め読み。世界が自分の存在を蔑み居場所など何処にも無くて、それでも心や脳や身体の中に誰かがいて対話出来ることだけが自分の生の意味だとしたら…そう思うしかない私は紫織から違う場所で生きている事にホッとしてしまう酷い人間だろうか。もう花村萬月にお腹いっぱい。お薦めは出来ずごめんなさい。
2021/05/23
Ayako
解離性同一性障害を扱った小説は多いものの、本作程、読み進めるにつれて気が重くなるものもなかなか無い気がする。小説家の菱沼は、クラブママの紫織と知り合う。やがて、会うたびに気質の変わる彼女に違和感を覚えた菱沼は、彼女の中には複数の人格が存在することを知る。この障害は、過去の強烈な体験から自分の身を守るために生じるものだという。徐々に明かされる紫織の壮絶な経験、そしてこの話のモデルとなった実在の人物がいるという事に衝撃を受けた。読み応えはあるものの、読むのにも覚悟が必要な一冊だ。
2021/05/30
わむう
北海道にマンションを購入した小説家。クラブのママと知り合いになり、打ち解けていくが、接するうちに彼女が解離性同一性障害であることを知る。フィクションとのことですが、エピローグで花村氏が、彼女にはモデルがいて3年による取材をし、執筆したと書いてあるため、フィクションかノンフィクションどちらかの境界線がわかりませんでした。それも含めての創作物として楽しめました。
2021/07/24
rosetta
★★★✩✩久しぶりの花村萬月。還暦すぎてもイマジナリーフレンドを持つ作家と何十人もの人格を持つ解離性同一性障害の女性の奇妙に歪んだ恋愛小説。作者はノンフィクションを再構成した小説であると後書きでまで書いているが、他人の人格が移り住んでくるなどと到底信じられないし、それらの人格が超常現象を起こす能力者だとはいっそう作り物としか思えない。何それレインボーマンじゃん。それでも丁寧な描写で動きの少ない(心の同様は最大限に振れ幅があるが)物語を飽きずに読ませる作者の力量は感じる。
2021/10/04
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