あかずの扉の鍵貸します
あかずの扉の鍵貸します / 感想・レビュー
パトラッシュ
訳あり人ばかり集まる下宿「まぼろし堂」で展開する、ファンタジーとリアルが交錯する不可思議なドラマ。金木犀の匂いに惹かれる虫のように「あかずの扉」に封じられた秘密に現世利益を嗅ぎつけた面々が寄ってくるが、ほとんどは火に焼かれるか苦い記憶を甦らせてしまう。そんな悲喜劇を次々と目撃した朔実は少しずつ人の心の弱さ愚かさを学んでいき、最後は家主の生まれに絡む秘密が暴かれる事態にも対応できるまでになっていく。あかずの扉の洋館が女主人を迎えるために朔実の成長を見守っていく有様は、館自体が物語を支配する神かと感じられた。
2022/01/25
シナモン
後半、なんだかごちゃごちゃして展開が分かりにくかったかな。でも迷路のような古い洋館、人生の秘密が納められたあかずの扉、謎めいた下宿人、金木犀の香り…と幻想的な雰囲気に浸ることができました。最初の不二代さんの物語が良かったです。
2022/01/25
ベイマックス
推理小説風な館の見取り図があるとよかったな。まっ複雑ってことで。増改築をくり返した不思議な館に集う、不思議な人たちがおりなす物語です。
2023/05/16
ひさか
青春と読書2020年4月号〜2021年5月号掲載のものに加筆修正を行い2021年10月集英社から刊行。一章開けっぱなしの密室、二章地下室の向こうへ、三章天の鍵穴、四章いつかオルゴールが鳴る日、五章木犀の香に眠る、の4つの連作短編。一章が良かったです。アイデアは面白いのですが、展開に難があって読み辛いものがありました。連載中は、栗城由香さんの挿絵に雰囲気があって良かったのですが単行本化でカットされ残念です。
2021/12/30
みかん🍊
火事で両親と家を失った朔実は育ててくれた遠縁の不二代からの病床での頼みからあかずの扉を貸してくれるまぼろし堂を訪れる、迷路の様な古い洋館には変わり者の下宿人がおり、不二代の件が片付いた後、洋館に惹かれ自らも下宿し館主で設計事務所を営む幻堂の助手も勝手でる、見つからない金木犀の香りが漂う洋館には不思議な謎がある、あかずの扉に入れたいのは処分したい物ではなくいつか時がくれば必要とする人の為に残しておきたい物なのかもしれない。
2021/12/10
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